第71話 展示物
しばらくするとセグロジャッカルが目を覚ました。
とりあえず無事なようで安心したが、何の防寒対策もせずにツンドラ地方へ来たのは無謀としか言いようがない。
何故、ツンドラ地方に居たのか?
セグロジャッカルは大抵の場所は探索したが、ツンドラ地方は探索したことが無いことに気が付いてツンドラ地方へ行くことに決めたらしい。
そして、ツンドラ地方に足を踏み入れた瞬間にセグロジャッカルは察した。
あっ、これ無理だ。
引き返そうとした矢先にトナカイが現れて、驚いて凍り付けにされる前に逃げた結果、道に迷って遭難し掛けたと言う訳らしい。
トナカイが言ってた逃げ出したフレンズはセグロジャッカルの事だったのか。
地味に傷付いていたトナカイの為に、セグロジャッカルにトナカイに相手を凍り付けにする能力はないと説明する。
しかし、トナカイの風評被害は中々根が深そうな問題だ。
一体何が発端なのだろうか?
……ところで、そろそろ私から離れてもらえないだろうか?
セグロジャッカルも回復している筈なのだが、どうにも身体がまだ温もりを欲しているようで離れてくれない。
そして、遂にオオウミガラスがわたしも入るーと乱入をしてきた。
もう滅茶苦茶だ。
さて、やっと完全復活を遂げたセグロジャッカルが早速とばかりに博物館の中を探索する。
この博物館については司書も知らない場所のようなので、セグロジャッカルが後でどんな場所だったかを報告するために色々見ているようだ。
セグロジャッカル曰く、このジャパリパークには地図に存在しない遺跡(施設)が点在しており、発見する度に司書が地図に書き加えているらしい。
あの図書館の地図はパンフレットの簡易的なものとは違い、等高線も引いてある詳しい地図だった。
私のパンフレット地図には大まかな施設の場所しか書いてない不便なものなので、図書館に戻って地図を写させてもらうことも考えた方が良いかもしれない。
この博物館は絶滅動物を取り扱ったもののようで、剥製や骨格標本の殆どに絶滅したことが記載されている。
説明用のパネルは付ける前だったようなので、動物の名前くらいしか分からない。
絶滅動物の目玉と言えば、かつて地上を闊歩していたと言う恐竜だろう。
だが、この博物館には恐竜の骨格は存在しなかった。
おそらく、恐竜を取り扱ったものはまた別のエリアにある博物館に展示されているのだろう。
セグロジャッカルは剥製に興味を持ったのか、どうして死んでるのに生きてた時の姿を保ったままなのか私に聞いてきた。
これは私の専門外なので、死体をどう処理すれば剥製になるのかは知らない。
おそらく、始めに腐りやすい内臓や肉を除去して……
あまり、深く考えると色々と見る目が変わってしまいそうなので、剥製の作り方に関する考察は放棄する。
知らないことが良いこともある。
私はそう結論付けて剥製については考えないようにすることにした。
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