極寒の大地
第65話 地方遠征2
当初の予定では明日に旅立つ予定だったが、私の体調の回復が思いの外早かった為、予定を1日繰り上げた。
これから旅の恒例になりそうな指差し呼称で忘れ物が無いかを確認し、私達はツンドラ地方へ向けて出発する。
今回の旅は心強いが頼りになるか分からない案内人がいるので、砂漠の旅よりは多少はマシだろう。
途中までは前回の旅路と同じになる。
木彫りの熊が陳列している見覚えのある道を通り、砂漠地方へ向かうトンネルとの別れ道へやってきた。
前回はここを曲がったが今回は直進する。
前はアカギツネが何かしていたが、今回は別の場所にいるのか出会うことは無かった。
無かったが代わりに別のフレンズが姿を現した。
ヒッキーなゴリラちゃんがこんなところまで来るなんて珍し……って誰やねん!
何やら妙な訛りのある喋り方で私を偽ゴリラ呼ばわりする不届き者の名はヒョウ。
私を偽ゴリラと言うからには、どうやら本物のゴリラと面識があるようだ。
いや、どちらが本物かとか以前に私はゴリラでは無いのだが……
話を聞く限りではヒョウは密林地方からやってきたフレンズのようで、何やら面白そうな噂を聞いて密林から出てきたらしい。
その噂の内容は翼の無いフレンズでも空を飛べるようになる『じんりきひこうき』と言うものが出来たとのこと。
どうやらスカイレースに関する噂が徐々に広まり始めているようだ。
あちらも順調なのだろうとは思うが……
この短期間で人力飛行機の複製段階に入ったとでも言うのだろうか?
私は年単位の時間が掛かると思っていたのだが、やはり一から技術を作り上げるのと既にある技術を解析するのでは掛かる時間に雲泥の差が出る。
そして、人力飛行機を解析したフレンズは何者なのだろうか?
今までの経験上、フレンズ達はかつて動物であったときの特徴が強化されている。
陸のフレンズなら足が速く、空のフレンズなら飛ぶのが速く、海のフレンズなら泳ぐのが速くと言った具合だ。
ならば、動物の特徴として道具の作成技術を持つフレンズがいるのだろう。
どんなフレンズなのかは検討が付かないが、会ってみたい。
仮定の話だが、もしも人がフレンズ化した場合はどうなるのだろうか?
人としての特徴が強化されるならば、道具の作成能力が強化されて歴史に残る大発明家が生まれるかもしれない。
まぁ、人のフレンズと言うのは人の人化と言う矛盾の孕んだ現象なので、実際に起きる可能性は無いに等しいだろう。
脱線した。
とりあえず、ヒョウには人力飛行機のある場所は反対方向であることを伝える。
このエリアには山が2つあるので向かう山を間違えてしまったようだ。
ヒョウは慌てて来た道を戻り、密林地方へと帰って行く。
この先を行くとゴリラのいる密林地方へ行けるのか。
是非とも会ってみたいところだが、今回はツンドラ地方の探索が目的なので、私達はツンドラ地方へ通じるトンネルへ向かった。
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