第64話 雑談

 この港の寮での生活もそろそろ慣れてきた頃、そんな折りにまた客がやってくる。


 港はそんなにフレンズが頻繁に来るのかと言えば、今まではたまに散歩をしに海のフレンズがやって来るくらいで、フレンズは殆ど来なかった。


 では、何故最近になってフレンズ達が良く訪れるようになったかと言えば、それはとある存在が港に住み着くようになったからだ。


 無論、私のことだ。


 本日、港へやって来たのは湿原に住んでいるミシシッピワニとオオサンショウウオだった。

 ミシシッピワニについては先日ジャパリまんを貰った礼もあるので、私は料理を振る舞っている。


 オオサンショウウオは以前にセグロジャッカルから話は聞いていたが、こうして直接会うのは今回が初めてだ。


 鳥類、哺乳類、魚類、爬虫類と来て、最後に両生類のフレンズと出会ったことにより脊椎動物のカテゴリーをコンプリートしたことになる。

 おそらく、サンドスターによってフレンズ化するのは脊椎動物だけで、無脊椎動物や昆虫などはフレンズ化することはない。

 可能性はゼロでは無いだろうが、現時点では至る所に虫がいる割には、資料や話に虫のフレンズが登場したことがないので、虫がフレンズ化することは無いのだろう。


 まだまだサンドスターの謎は解けそうにない。



 ミシシッピワニによると、最近の湿原はイカダ渡りがちょっとしたブームになっているらしく、そこで遊んでいるフレンズが多いそうだ。


 何でもイカダの絶妙な不安定さが面白いのだとか……

 特に問題が起きていないのは何よりだ。

 私の想定の斜め上を行く利用方法ではあるが、使われていないよりはマシである。


 それにしても、両生類全般の特徴なのか分からないが、オオサンショウウオはビキニような服の上に半透明なネグリジェを羽織ったような格好である。

 ビキニは水棲の特徴、ネグリジェは粘膜を表しているのだろうか?


 まったりとミシシッピワニ達と雑談をする。


 話題は私達の旅の軌跡について。

 濃密な港へ向けての旅は何度も命の危機に晒されていることもあって、特に手に汗握る迷宮のセルリアンとの対峙は3人とも真剣な表情で聞き入っていた。


 オオウミガラス?

 確か、貴女も当事者の筈なのに、何故聞き手に回っているんだ?


 その後、話は砂漠の旅に移り、ミシシッピワニの口からフタコブラクダについての話が出た。

 どうやらフタコブラクダは湿原を通り掛かり、ミシシッピワニ達と出会ったようだ。

 彼女の旅も中々順調なようで、砂漠地方の宣伝をしながら森の方へ向かって行ったらしい。


 ルートとしては平原へ向かうように見えるが、確か地図によると平原の北にはサバンナ地方があった筈だ。

 サバンナか平原か……もしくは両方行くかもしれない。


 久々に長く話したような気がする。

 旅は楽なことばかりではなかったが、こうして終わってみれば全てが良い思い出となる。


 ……締め括りがまるで全てが終わったかのような書き振りだが、明日からツンドラ地方への旅が始まる。


 気合いを入れ直さねば……

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