第61話 暇な日
今日こそゆっくりと休む。
私は気合いを入れて休むことにした。
気合いを入れなければ休めないのは少々おかしい気もするが、私は今日こそゆっくりと休みたいと思う。
本日のゲストは暇を持て余して遊びに来たクーちゃん1名のみ。
徒歩で4時間掛かる距離を15分で移動出来ると考えれば、空を飛べると言うのは非常に便利なものである。
…………
驚くほどに何もない。
日記を読み返してみれば、こんな短い期間に良くイベントを詰め込んだものだと呆れ返ってしまう。
命の危機を数えれば既に片手で数えられる数を越えそうである。
1日くらいは一行日記で終わるような日もあるべきだ。
とは、思うのだが逆に何も起きないと言うのはこれはこれで何かと不安である。
新手のフレンズも来ない。
凶悪なセルリアンも来ない。
本日は平和なり。
『ジャパリ日和』を何と無く捲っているととあるフレンズの姿が目に飛び込んできた。
トキ
ナミチスイコウモリや私に凄まじいトラウマを植え付けたフレンズ。
儚げで綺麗な鳥のフレンズなのに、その口から紡がれる歌は儚さとは程遠い印象を与える音痴を越えた何かの域に達している。
スピーカーで増幅すれば音響兵器にもなる。
あの個体が特殊なのかトキのフレンズとしての特徴なのか……
果たしてこのエリアに生息しているだろうか?
以前は気にも留めなかったが、ページを捲っていると私も知っているような有名な動物のフレンズも紹介されているのに気が付く。
ライオンのフレンズだ。
写真で見るこのライオンのフレンズは百獣の王らしく凛々しい出で立ちをしている。
私が幼い頃に動物園で見た元動物は何時も腹を出して寝ている印象しかない。
フレンズになってもライオンの特徴的なたてがみはしっかりと残っているようで、その髪型はライオンのたてがみの様である。
……いや、おかしくないか?
私は自分の感想にツッコミを入れた。
この写真に写っているのは例によって少女の姿である。
つまりは雌の筈なのだ。
雌のライオンにはたてがみは存在しない。
雌の筈なのに何故かライオンのフレンズには雄にしかない特徴の筈のたてがみを備えている。
私は様々なフレンズと出会った記憶を振り返り、一つの結論を出した。
フレンズに男は存在しない。
今までずっと女の子のフレンズとしか出会っていなかったので薄々とは感付いていたが、今回で私ははっきりと確信した。
意外な物からも発見はあるものだ。
しかし、ここで私は別の疑問が浮かんだ。
雄にサンドスターが当たった場合はどうなるか?
何の反応も示さないのか、問答無用で女の子にされてしまうのか。
雄の特徴をフレンズが備えている事を考えれば、後者の考えが正解のように感じる。
何故、女なのか?
もしかしたら、研究施設の中にその問いに関する答えが示されている物があるかもしれない。
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