港のご近所
第55話 海からの侵入者2
朝……
昼夜逆転生活の影響ですっかり時差ボケみたいな状態の私はコーヒーを飲みながら本を読んでいた。
ちなみに、オオウミガラスとクーちゃんは仲良くコーヒーを口にした瞬間に吹き出した。
ブラックコーヒーはまだまだ二人には早かったようだ。
そんなカオスな朝の一幕に更なるカオスを呼び込むべく、海から港の寮へ侵入者が現れた。
やっほー!!
物凄い元気なフレンズがやってきた。
物凄い勢いで喋りだして、物凄い勢いで床に倒れている二人を見て、物凄い勢いでテーブルの上にある飲み物に興味を示して、物凄い勢いで死体の仲間入りを果たした。
確か、コーヒーは毒物じゃ無かったと思うのだが……
何なんだこの子?
すると、元気の塊みたいなこの子後から知り合いが顔を出した。
イッカクだ。
イッカクが何があったの?と周囲に転がる黒い液体を口から流しながら倒れている死体を見て呟いた。
ああ、とっても不幸な事件があったんだ……
私は遠い目をしながらコーヒーを口にした。
ちなみに盛大に自爆して床に転がっているフレンズはバンドウイルカのドルカと言うらしい。
イッカクの友人でここへ来る際に誘ってきたようだ。
海のフレンズと言うこともあり、オオウミガラスの知り合いでもあるらしく、コーヒーの衝撃から復活したオオウミガラスがドルカと仲良く話している。
話を聞く限り他にもナルカとマルカとお母さん(?)と言う知り合いが居るようだ。
一人だけ明らかにおかしいニックネームが混ざっている。
ナルカとマルカとお母さんは現在リウキウ地方とやらに行っているらしい。
パンフレットによれば、リウキウ地方は少し離れた位置にある小島で、過去に常夏のリゾート地として運営されていたらしい。
扱いとしてはエリアでもあり地方でもある変わった場所のようだ。
船が動かない現時点では探索のしようがない。
ところで、さっきから個人的に気になっているんだが、イッカクのその手に持ってるものは何なんだ?
そう聞いてみるとイッカクは今朝泳いでるのを見掛けて取ってきたのだと言う。
何故それを持って来ようと思ったのか聞いてみると、料理にするともっと美味しくなるんじゃないかと思って持ってきたらしい。
只でさえ美味しい魚が料理することによって、何処まで美味しくなるのか気になるのだと言う。
確かに私もその魚が美味しいと言うことは知っているが……
マグロ丸々一本を私にどうしろと言うのだ……
そもそも、マグロは片手で運べるほどの大きさの魚ではないと思うのだが、その細腕の何処にマグロを運ぶパワーが秘められているのか?
やはり、サンドスターが原因か?
色んな意味で眠気の覚めた私はイッカクにマグロを調理場まで運んできてもらう。
近頃、料理をする機会が多かったので、コックに転職をしてしまうかと思われたが、ここへ来て板前の道まで出来てしまった。
……これ、私に捌けるのだろうか?
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