第38話 アトラクション
監視室にあったDVDは昔のジャパリパークの様子を記録した貴重な資料と言うことで司書が持って帰ることになった。
フレンズの中には司書のように以前のジャパリパークの痕跡を辿る歴史学者のようなフレンズも少なからずいるらしい。
そして、遊園地のような人が作ったアトラクションは大体遺跡扱いなのだと言う。
遺跡か。
まだ、遺跡と呼ばれるには早いのでは無いかと思うのだが、フレンズ達にしてみれば未知の文明の遺跡にしか見えないのだろう。
引き続き、遊園地の探索に戻る。
遊園地を探索して気が付いたのが、やはりと言うべきかインフラがしっかり生きている事である。
操作盤を動かせばどのアトラクションも問題なく動きそうだ。
問題はあるが動いた。
何が問題だったかを言えば、動かした途端に錆びた鉄が擦り合うような酷く耳障りな音が響いた。
油なんて差してないのだから当然である。
だからか、昔のフレンズとヒトはこんな物で楽しんでいたのでございますか?と司書に言われてしまった。
こんな物……
こんな物でも図書館のようにしっかりとメンテナンスしていれば、昔のように楽しい乗り物だった筈なのだ。
時の流れと言うものは無情である。
さて、次に訪れたのは見るからにおどろおどろしい建物。
所謂、お化け屋敷と言うものだ。
経年劣化によって剥げた塗装がお化け屋敷としての貫禄を醸し出し、本物のお化けが出てきそうな雰囲気すら纏っている。
私はお化けや幽霊等と言った非科学的なものは信じていないが、怪談話は割と好きな方だ。
物語として見れば楽しめるものも多いが、積極的に話すことでもない。
人によるが、怪談話が全くダメな人もいる。
私を先頭にして私の背後で列車状態となってるのを見ると3人共怖いものは苦手なようだ。
順番はセグロジャッカル、司書、オオウミガラス。
だが、良いのか?
私を先頭車両にしてしまうとこのままお化け屋敷の中へ進んでしまうぞ。
そんな私を背後の3人が必死で引き留める。
お化けが出るかも知れないと騒いでいるが、この世にはお化けなんてものは存在しない。
お化け屋敷の中にあるのは怖い造形の作り物のお化けだけだ。
せっかくだから見に行こう。
さすがに外のアトラクションと違って錆び付いていないのだから、それなりに楽しめる筈だ。
お化け屋敷の中はかなり暗くて良く目を凝らさないと周囲の様子が見えない。
司書とオオウミガラスが昼行性だから夜目が効かないなんて言い訳をしているが、後ろを振り返るとガッツリと目を瞑っている。
夜目がどうとか以前の問題だ。
それとお化け屋敷は目を瞑って進む方が遥かに怖いと思うのだが……
このお化け屋敷は本来なら仕掛けよりも人が直接驚かす方式を取っていたようで、仕掛けの密度が低く所々誰かが隠れられそうなスペースを見付けることが出来た。
案内板に従って進むとオオウミガラスが何かに躓くような音が聞こえた。
私は後ろの車両に足元に注意するように言って、どんどん先へ進む。
時間にして15分。
お化け屋敷の出口から外へ出た私達は外の眩しさに目を細める。
それに伴い、手が私の肩から離れて車両の連結が解除された。
皆の様子を確認するために振り返ると、私はとあることに気が付いた。
車両が1両増えている。
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