日記外その10 ジャッカルと遊園地

「これかな?」


 セグロジャッカルが見付けたのはまたしても帽子であった。

 ただし、前回と違うのは今回の帽子は羽根が一つ欠けているのと、サイズがかなり小さい事だ。


「これかな?」


 次に見付けたのは確かに制服だった。

 ただし、前にセグロジャッカルが覚えている写真の中の制服とは造形がかなり異なるように見える。

 特にパークガイドの制服にはスカートなんて物はなかった。


「やっぱり、れすとらんっぽい所のはちがうよね。となると……もしかして『ゆうえんち』はハズレ?」


 セグロジャッカルが前回来たときは開かない扉を確認してどうにか開ける方法は無いかと考えていた時だ。

 その時はまだパークガイドなんて存在を知らなかった為に良く探索をしていなかった。


「どうやら苦戦してるようでございますね」

「あ、ししょさん」


 探索に苦戦していると空から帽子を持ったハシブトガラス降りてきた。


「セグロジャッカル、有益な情報を手に入れて参りましたよ」

「なになに?」

「パークガイドの制服は『スタッフ寮』なる場所にあるそうなのです!」

「すたっふりょう!……で、それは何処にあるの?」

「分かりません。ですが、『遊園地』等ヒトの施設の近くにあることは確かなのです。私は空から探します」


 そしてまた飛び上がろうとするハシブトガラスにセグロジャッカルが待ったを掛ける。


「まぁまぁ落ち着いてよ。ししょさん、話は変わるけど、ここに来るまでにすっごく大変だったんだよ」

「大変?ここは比較的空を飛べないフレンズでも来やすいところだと思うのですが……」

「森を出て直ぐのトンネルに大きなセルリアンが居たんだよね。必死に逃げてたらオオウミガラス達と合流して──」


 セグロジャッカルはオオウミガラス達と合流してからの話をする。

 短い間だったがそれなりに苦労もしたし、美味しい思いもしたので誰かに話したかったようだ。


 そんなセグロジャッカルの話の中でとある話題にハシブトガラスが食い付いた。


「料理でございますか!?」

「うわっ!いきなり大声を出してどうしたの?」

「セグロジャッカルは私に内緒で料理を食べたのでございますか!?」

「全然内緒にしてないからね!もしかして、ししょさんもりょうりを食べたかったの?」

「もちろんでございます!」


 声を出さずともハシブトガラスの口の端しから垂れてる涎が料理を食べたいと自己主張をしていた。


「フフフ……ついに私も噂で聞いた料理を食べられるのですね。じゅるり」

「ししょさんにしては珍しく気が早いね……明日、りょうりを作ってくれるように頼んでみようよ」

「そうですね。あのヒトには用事があるのでついでにそれも済ましてしまいましょう」


 無意識に優先順位の逆転を起こしているがハシブトガラスはそれに気が付くことはなかった。

 それほどまでにハシブトガラスはジャパリまんとは違う味と言うものに飢えていた事に他ならない。


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