旅の終わり
第23話 岐路
二回目の野宿
湿原の朝靄で顔がしっとりと濡れたのを感じて起きた。
今回の旅で今のところ雨に降られてはいないが、もしも雨に降られたらずぶ濡れになってしまう。
せめてもう2本折り畳み傘を所持していれば問題はなかったのだが……
ここは天に雨が降らないように願掛けをするしかない。
しばらく進むと遂に湿原の終わりが見えてきた。
あとはここを海岸に向かって歩き、道なりに進めば港へ辿り着く筈だ。
ここでセグロジャッカルの目的地は港とは別方向にあるらしくこの岐路でお別れとなった。
しかし、セグロジャッカルは探し物をしていると言っていたが何を探しているのだろうか?
あまり詮索するのは良くないとは思うのだが、ここまでお世話になったので何かしら助けになればと聞いてみた。
話を聞くところによるとセグロジャッカルはパークガイドの制服を探しているのだと言う。
制服の意味を理解していなさそうな語尾に?が付いてるような発音だったので本当に大丈夫か心配になる。
では、何故制服を探しているのか?
どうやら司書がフレンズ達の入れない建物の中に入りたいようで、昔の資料からパークガイドが出入りしているのを掴み、セグロジャッカルへパークガイドの制服の探索を依頼しているようだ。
事情は分かった。
だが、セグロジャッカルと司書は一つ勘違いをしている可能性がある。
そもそもパークガイドの制服を着たからと言ってセキュリティのある扉が開く筈がない。
考えられるのは、物理的なカギ、パスワード式の電子ロックかカードキー。
私は社員証を兼ねたカードキー説を推したい。
なので、セグロジャッカルにカギとカードを見せて、念のためにこれも探すように伝えてみる。
まぁ、私も個人的にジャパリパークのスタッフしか入れない施設と言うのも興味を注られる。
あと、セグロジャッカルの言ってたパークガイドは名前の通りならそこまで権限の強い役職と言う訳ではないと考えられる。
もしも秘密の施設を探索するなら研究員のカードキーが是非とも欲しい。
セグロジャッカルと別れた私達はいよいよ港へと向かう。
海岸から水平線を眺めながら歩いていく。
水平線をじっと見ているとうっすらとだが島が見える。
おそらく、こことは別のエリアだ。
遠くの方で黒い尾びれに青い服を着た人らしき、フレンズらしき存在が海面から飛び上がるのが見えた。
イルカのフレンズだろうか?
オオウミガラスに質問をするがそのフレンズの姿は既になく、結局何のフレンズがそこに居たかは分からなかった。
海岸線を歩いていくと遂に港が見えてきた。
ここからでも港にそれなりに大きな船が停泊したままの状態になっているのが良く見える。
いよいよ、私の旅も終わりに近付いてきているのを感じる。
1ヶ月にも満たないとても短い旅だったが、沢山のフレンズや危ないセルリアンとの出会い等、短いながらもとても濃い旅だった。
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