日記外その8 料理とコイ
謎のフレンズが扉を開けるとそこはいくつもテーブルと椅子が並ぶ不思議な空間だった。
「……なるほど、レストランか」
「れすとらんって何?」
「……レストランは料理を提供する店のことで……分からないか」
セグロジャッカルとオオウミガラスの表情を見て謎のフレンズは解説を諦めた。
こればかりは実際に体験してもらった方が良いと判断したのかもしれない。
そんな3人を店の奥のテーブルからじっと人面魚のフレンズが見詰めていた。
それに謎のフレンズも気が付いて暫し無言のお見合い状態となる。
「……ハッ!いらっしゃああああああい!!」
「「「!?」」」
「ずぅっっと待ってたよぉおおお!!で、さっそくで悪いんだけど料理作ってぇえええ!!」
「……この店は客に料理を作らせるのか」
謎のフレンズは通常のレストランとは思えない状態に思わず驚愕の表情を浮かべた。
その後、謎のフレンズはフレンズ達に迫られる形で料理を作ることになる。
謎のフレンズはレストランの奥へと入っていくと、何やらカチャカチャトントンと音がし始めた。
「セグロジャッカル、りょうりってなぁに?」
「アタシも分かんないよ」
「ふーん、二人は知らないんだ。料理ってのはね。食べ物を別の形に変えることなんだよ」
人面魚は得意顔で二人に料理の事を話す。
「そのままでも良くない?」
「あまーい!甘過ぎる!料理はなめちゃいかんのぜよ!」
「……」
「……」
奇妙な口調の変化にセグロジャッカルとオオウミガラスは二人して何と反応して良いか分からず黙ってしまう。
「い、いや黙らないでよ。コイちゃんも反応に困っちゃう。あのね。料理は食材そのまま食べるよりも何倍も美味しくなるんだよ」
「へ、へぇ、なんかよくわからないけどすごーい」
「ジャパリまんとどっちが美味しいかなぁ?」
「そこは料理を作るヒトの腕次第かな?それより何出るかな。久し振りにたこ焼き食べたいなぁ」
「たこやき?」
「タコって8本足のアレだよね?」
「足が8本……クモ?」
「あ、そっかセグロジャッカルちゃんはタコを見たこと無いんだね」
話している内にレストランの奥から匂いが漂ってくる。
「美味しそうな匂いがしてきたね。この待つ間のワクワクも醍醐味だよ!」
「嗅いだことの無い匂い。美味しそう……なのかな?」
「わたし、なんか分かんないや」
しばらくすると謎のフレンズがトレーに4つの皿を乗せて現れて、それぞれの前に料理と食器を並べた。
「……肉じゃがだ」
「にくじゃが?りょうりじゃないの?」
「肉じゃがは料理の一種だ」
謎のフレンズはオオウミガラスに料理について訂正を入れて両手を合わせた。
「いただきまーす!」
人面魚は謎のフレンズの言葉を先取りするかのようにそう言って、箸を使って肉じゃがを食べ始めた。
「……いただきます。あ、コラ!顔を直接突っ込むんじゃない!」
謎のフレンズがオオウミガラスとセグロジャッカルに食器の使い方を教えようと四苦八苦している間も人面魚は一人食べ続ける。
「美味しい!うん……美味しいよぉ……」
人面魚の目から涙が零れ落ちた。
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