第22話 湿原を行く

 セグロジャッカルに何か背後から水の中を進みながら接近していることを伝えるとセグロジャッカルはパニックを起こしてさらに深く埋まってしまう。


 言い方を間違えただろうか?


 セグロジャッカルの背後からやってきたそれはよいしょと言う掛け声と共にセグロジャッカルを泥から引き抜きながら現れた。


 現れたのは革製の衣服を身に纏ったフレンズ。

 残念ながら尻尾は水中に沈んだままなので判別は出来ないが、頭にケモ耳や翼が無いことと衣服の様子、生息場所からおそらくはワニではないかと考えられる。


 正解のようだ。


 彼女はミシシッピワニのフレンズらしい。

 ちなみに怒ってるような顔をしているが怒ってはいないとのこと。

 そこはかと無い親近感を感じるのは何故だろうか?


 彼女曰く、この遊歩道が壊れてから落ちて泥に嵌まるフレンズが後を経たないのだと言う。

 特に残骸の少ないこの辺が特に多いようだ。


 ここをどうにかする案はいくつかあるが道具がない事にはどうしようもない。


 周りにあるのは湿原に生える草と遊歩道の残骸。

 いや、あそこにある長い丸太を利用できればどうにか出来るか?


 どうにか出来るかもしれない。


 オオウミガラスよりも遥かにパワフルなミシシッピワニに丸太たくさんを運んできて貰う。


 オオウミガラスも丸太を運ぶことは出来たが一度に2本が限界のようだが、ミシシッピワニはまとめて10本くらい運べることが出来た。


 まずは丸太は確保出来た。


 あとは遊歩道の残骸に付いているロープを使用しよう。

 セグロジャッカルは手で押さえて噛み千切り、ミシシッピワニは首を捻ることで噛み千切り、30分もしない内に欲しいだけの材料が揃ってしまった。


 材料が揃ったところで私は丸太を並べてロープで固定し、その上に木の板を乗せて簡易的なイカダが作成した。


 これの上に乗って長い丸太で湿原の底を突けば遅いながらも前に進むことが出来るだろう。

 実際に私が使用して確かめてみたが特に問題なく使用できた。


 器用ですねとミシシッピワニに感心されたのだが、そのあとすぐに問題が表面化した。


 皆これの使い方が分かりますかね……


 頭を抱えて直ぐ様結論を出した私は3人を巻き込んで第二第三のイカダを作成し、それを順次遊歩道の残骸の柱に固定していく。


 不格好なのは仕方無いが、この固定されたイカダの上を渡れば沈む心配もなくこの湿原を渡れる筈だ。


 もしも流れが早い川とかならばもう少し工夫が必要だったかもしれないが、今はこれで良いだろう。


 ミシシッピワニはロープの結び方を覚えたそうなので、今後は仲間と一緒に泳げないフレンズ達の為にイカダを作るつもりらしい。


 とりあえず、湿原の交通事情が改善した。


 日が暮れてしまったので一先ず何処かの残骸の上で休息を取ろう。


 今日はイカダの作成で疲れてしまった。


 明日こそは順調に旅が出来ることを祈ろう。

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