第6話 奔走!

 さて、私達は片っ端からフレンズに草原の無事を伝えるために走っているのだが……


 どうして逃げられる!

 狩りごっことは何のことだ!

 逃げるな私の話を聞けー!!


 まずは一人目……

 散々追い回した挙げ句に捕まえたのは、ケラケラ楽しそうに笑うシマリスのフレンズ。


 とりあえず、草原のセルリアンは居なくなった事を伝えたのだが、シマリスはこの森林に暮らすフレンズのようだ。

 シマリスからも草原に暮らしてたフレンズに伝えてくれるらしい。


 よし、次だ。


 今度は特に逃げられることはなかった。

 人は学習する生き物だ。

 前回は走って追い掛けたから狩りごっことか言うのに勘違いされ逃げられたので、今度は歩いてゆっくりと近付く事にした。


 次のフレンズは私が黄色いウマだと勘違いした子だ。

 名前はケープキリンと言うらしい。

 キリンと言えば長い首が特徴の生き物なのでフレンズ化したらろくろ首のような妖怪が生まれるかと思ったのだが、見た目は普通の少女で妖怪ではなかった。

 どうやら首に巻いてある長いマフラーがキリンの長い首の代わりのようだ。

 ケープキリンは草原に暮らしていたフレンズのようで、セルリアンが居なくなったことに関してとても喜んでいた。


 その際にハンターと言う言葉を耳にした。


 どうやらフレンズの中にはセルリアン退治を生業にしている者たちがいるそうで、彼等がセルリアンからジャパリパークの平和を守っているらしい。


 ちなみに私はハンターではない。

 そう言うとケープキリンはきょとんとした表情を浮かべた。

 どうやら彼女達から見ると私は強者に見えるらしい。


 そんなに私は強そうな見た目をしているのだろうか?


 この調子で次々フレンズを見付けては草原のセルリアンが居なくなった事を伝えて回る。


 そして……


 私は迷った。

 私は迷ってしまった。

 いざ、元の場所に戻ろうと思ったら道が分からなくなっていたのだ。

 左右を見渡しても同じような風景が続いているだけで、元の場所へ戻るための道が分からない。


 しかもこういう時に限って周りにフレンズが居ない。

 海で遭難の次は樹海で遭難とは洒落にもならない。


 マズイ、これは非常にマズイ。


 そう思っていると上からパタパタと羽ばたくような音が聞こえて上を見上げる。

 鳥のフレンズだ。


 運はまだ私に味方をしている!

 全力で声を出して呼び掛けると鳥のフレンズは私に気が付いたのかこちらへ近付いてきた。


 何とも特徴的な一人称の子だ。

 それと共に髪色も毛先の方に向かうに連れて七色に色が変化している。

 彼女の名前はダーウィンフィンチ、自分の事をダーと呼んでいる。

 彼女もどうやら友達を探しているらしい。

 元々、草原にその友達と暮らしてて、セルリアンが居なくなった事を聞いて一緒に帰ろうとしているようだ。


 どうやら順調にセルリアンが居なくなった情報は広がっているらしい。


 一人では無くなった事にほっとしつつ二人でそれぞれの友達を探すことになった。


 オオウミガラスは今頃何をしているだろうか?

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