第7話 迷走と再会

 ダーウィンフィンチと私は友達捜索を開始した。


 ところで、ダーウィンフィンチの探している友達はどんなフレンズなのか?

 聞いてみると放置してたら苔むしてそうで放って置けないフレンズらしい。

 動物の頃から一緒に暮らしていた大切な友人なのだそうだ。


 動物の頃から……

 少なくとも彼女は動物の頃の記憶を保持したままフレンズになっているようだ。


 そこで私に何のフレンズなのかと聞いてきたので、フレンズじゃなくて人なのだと伝える。


 ???


 そんな感じの疑問符が大量に出そうな表情をして、直後にダーウィンフィンチは考えるのをやめた。

 たぶん、フレンズしか知らない彼女達にフレンズそっくりな容姿の動物の人を教えてもピンと来ないのだろう。


 ここまで人を知らないとなるとこのジャパリパークは放置されてから何年経っているのか……

 そう言えば、セグロジャッカルが人と言う単語に聞き覚えがあったかのような反応を示していたが、もしや私は大きな手掛かりを逃してしまっていたのだろうか。


 そして私は現状を打破できる大きな手掛かりを失念していたことに気が付いた。

 冷静さを欠くとこんな簡単な事にも気が付かないとは……

 私は地図をダーウィンフィンチに見せた。


 ダーウィンフィンチは空からこの森林を見ていたためか正確に私達の居場所を指差した。

 確か、私とオオウミガラスは図書館へ向かって歩いていたので、森林の入口と図書館を直線で結んだラインの何処かが元々私とオオウミガラスがいた場所だ。


 ダーウィンフィンチと相談し、ダーウィンフィンチもそこに友達がいる気がすると言う事で二人で入口と図書館を結ぶラインへ向かった。


 進んでいくと何となく見たことあるような風景が見えてきて、しばらくラインの上を図書館へ向かって歩くとジャパリまんを頬張るオオウミガラスとガラパゴスゾウガメがいた。


 私が迷って右往左往している間にオオウミガラスは呑気にジャパリマンを食べながら私を待っていたらしい。

 この森は迷いやすいから気を付けてと言う今更な注意をもらったが、その事は森に入る前に言って欲しかった。


 そして、ダーウィンフィンチの友達と言うのはどうやらガラパゴスゾウガメの事だったらしく、セルリアンが居なくなったから帰ろうと言っている。


 そう言えば、オオウミガラスの頭には小さいながらも鳥の翼が付いている。

 ダーウィンフィンチを見る限り、体の大きさに対して翼が小さく一見すると飛べることが出来ないように見えるが、そんな小さな翼でも空を飛ぶことが出来た。

 ならば、オオウミガラスも私に合わせて歩いているだけで実は空を飛べることが出来るのかもしれない。


 そう思ってオオウミガラスに聞いたのだが、彼女の翼は泳ぎ専門で空を飛ぶことが出来ないらしい。


 オオウミガラスはペンギンの仲間なのだろうか?

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