木漏れ日の中の図書館へ

第5話 朝日と共に

 目を覚ますと私の隣でオオウミガラスがうつ伏せになって寝ていた。

 普段はケータイのアラームで日が出る前に叩き起こされていたのだが、今回は朝日と共に気持ち良く目を覚ますことが出来た。


 昨日物色した際に見付けたポットで自前のオヤツのカップ麺にお湯を注ぐ。

 長い月日が経っている割には家具やら電化製品、インフラ等が生きているのはありがたい。


 オオウミガラスにカップ麺を殆ど食べられたぁああああああ!!


 最後の一個で次は何時手に入るか分からないのに!!

 ……分かってる。

 少しくらいなら食べていいと渡した私が悪いんだ。

 オオウミガラスに詫びジャパリまんを渡されてもあのカップ麺は帰ってこない。


 悲しい。


 カップ麺の衝撃から何とか立ち直った私は図書館へ向かうべく出発した。

 歩いてる最中にまるで暑い外からエアコンの効いた室内に入るような空気の壁を感じた。

 森に入って海風が遮られたからだろうか?


 森の中は適度な気温が保たれており、過ごしていて快適な場所である。

 オオウミガラスが言うには図書館はここからそう遠くない場所にあるそうだ。


 このパンフレットの地図は全体的に色分けがなされているだけで詳しい場所が書かれていない。

 もしやこれとは別に冊子のような物があったのだろうか?

 これだけ広くてパークを自称するならそれくらいあっても不自然ではないだろう。


 この森林は草原とは違いそこかしこに気配を感じる。

 木々の隙間から歩いてるフレンズも良く見掛ける。

 中にはこちらに気が付いて手を振ってくる者もいるのでこちらも手を振り返す。


 見掛けたのはタヌキ、リス、シカ、ウマ、ウマ(?)

 あの長いマフラーを付けた黄色い奴はウマなのか?


 と、そんな事を考えながら歩いていたせいで前方不注意になっていたせいか、思いっきり誰かに激突してしまった。

 相手は鎧を着込んだフレンズだった。

 鎧なんてものがあるのかと思いながらも、ぶつかってしまった事を謝罪する。


 相手は非常にゆっくりとした口調で気にしてないと言った。


 自己紹介をする前に少しフレンズ当てクイズをしたい。

 硬質な鎧、非常にゆったりとした動作、東部に耳がない。

 貴女はゾウガメだ!


 正解ー


 正確にはガラパゴスゾウガメだそうだ。

 普段は草原の方に住んでるそうなのだが、セルリアン騒動で一時的にこの森林へ避難してきたらしい。

 今、この森林には他にも草原から避難してきた子も沢山いるようだ。


 私に関して無駄な誤解を生むオオウミガラスの口を塞ぎながら既に大型セルリアンが居なくなった事を伝える。


 別に私は名声が欲しい訳ではないので退治したことは伝えなくて良い。

 あと、決してゴリラと誤解されたくないからではない。


 セルリアンが居なくなったこと聞いたガラパゴスゾウガメが早速みんなに知らせなきゃと移動を開始した。


 遅い!!


 元がカメのフレンズだからか移動が非常に遅く、彼女に任せていたら何時間掛かるか分かったもんじゃない。

 それを見かねたオオウミガラスが自分が知らせると言い出した。


 仕方ない。


 SNSのないこの島での情報伝達手段は口伝てだけだ。

 私とオオウミガラスで片っ端からフレンズを見付けて行くしかない。

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