日記外その2 ジャッカルの落とし物

「それでね。おっきな岩を使っておっきなセルリアンを倒したの!」

「そうなんだ!すごーい!あなたとても力持ちなフレンズなんだね!」

「はっ?」

「もしかしてゴリラのフレンズ?」

「ゴリラじゃない!!」


 謎のフレンズはゴリラと言われて憤慨した。


「岩を利用して倒したのは確かだが私は決して岩を投げたり振り回したりした訳じゃない。セルリアンの突進力が本人の制動力と耐久性を上回った結果意図的に起こした自爆であり、私が直接何かをして倒した訳ではない。そもそも私は本来運動とは無縁な職業であり、貴女達が思うような──」

「わ、分かった分かったって!ゴリラじゃないんでしょ?」

「……そうだ」


 セグロジャッカルは恐ろしい目付きの謎のフレンズを何とか宥めることが出来て安心する。

 ちなみにオオウミガラスは途中から何を言ってるのか分からなくなったのか口を半開きにしたまま固まっていた。


「ふぅ……あたしはセグロジャッカル。あなたは何のフレンズ?」

「……私はフレンズじゃない」

「え?フレンズ……だよね?」

「なんかヒト、なんだって」

「ヒト……ヒト?何処かで聞いたような。それよりオオウミガラスがここまで来るのって珍しいね」

「図書館まで案内するんだよ」

「でも、オオウミガラスって普段陸なんて通らないでしょ。良かったら手伝うよ?」

「へーきへーき!」

「ちょっと心配…… 」


 オオウミガラスの若干適当な態度にセグロジャッカルは本の少しだけ心配になる。


「何か困ったことがあったら遠慮なく相談してね。こう見えてもあたし結構顔が広……ああ!!ない!!」


 セグロジャッカルは手に持っていた筈のものが無くなっていることに気が付いた。


「何がないの?」

「こんな感じの奴なんだけど……セルリアンから逃げるときに落としちゃったのかなぁ。探さないとししょさんに怒られる」


 困っているセグロジャッカルの様子を見てオオウミガラスが張り切り出す。


「セグロジャッカルちゃん、わたし、手伝うよ!」

「……私も手伝おう」

「ありがとう。ちょっと匂いを追うね」


 セグロジャッカルは犬のように地面の匂いを嗅ぎながら逃げてきた道を戻り始めた。


「あれ?確か、ここら辺の筈だけど、何処だろう?」

「……手分けして探そう」

「おー」


 三人は根気強く周囲を探索するが一向に目的のものは見付からない。


「はぁ……どうしよう……」

「だ、大丈夫だよ!絶対に見付かるって!」

「……」


 落ち込んで下を向いているセグロジャッカルとは対照的に謎のフレンズは空のある一点を見上げていた。


「……アレではないか?」


 唐突に謎のフレンズが空のある一点を指差して二人に問い掛けてきた。

 二人も吊られてその方向を見てみると……


「ああああああ!!アレだ!!」


 どうやらセグロジャッカルが探していた物は風に乗って空へ舞い上がっていたようだ。


「ま、待てー!!!」


 セグロジャッカルは猛烈な速度で目的の物を捕まえるべく駆け出した。


「……速い」

「セグロジャッカルちゃんは陸に住むフレンズだからね」

「……無事捕まえられることを祈ろう」

「そうだね」

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