第4話 風の行くままに
空を飛ぶ謎の鳥を良く目を凝らして見ると、それは鍔の広い帽子ようなものに見える。
如何せん距離が遠いからハッキリとは分からないが、一応セグロジャッカルに確認を取る。
次の瞬間セグロジャッカルは叫んだ。
どうやらあれがセグロジャッカルが探していた物のようだ。
セグロジャッカルは到底人とは思えないような速度で駆け出して帽子を追っかけ始めた。
私とオオウミガラスの足では追い付けそうもない。
しかし、あそこまで必死になるとは余程大切なものなのだろうか?
セグロジャッカルが無事帽子を捕まえることが出来るように祈りつつ私達はセグロジャッカルの後を追うように草原を進んだ。
草原を進んでいくと小さな谷と、それを跨ぐように作られた橋があった。
橋は鉄骨で組まれており、橋の上にはかつて看板があったのか、鉄パイプの骨組みだけが残っている。
長い間手入れをされていないのだろうか?
橋の先には警備員の詰所があったのか小屋がある。
扉は朽ちて倒れていたので遠慮なく中に入らせてもらう。
部屋の中を探索するとかつて人が暮らしていたような形跡が残っており、とりあえず目についたので机の上に置いてあったパンフレットを手に取る。
詳しいことは書かれてないがどうやらこの地の地図のようだ。
表紙にはジャパリパークと書かれている。
ジャパリパーク、祖母から話を聞いたことがある。
確か、巨大なサファリパークで世界中から様々な動物が集められて生態研究がされていたらしい。
ジャパリパークについては私が聞いたことはそれくらいだけだ。
動物が少女になる現象なんて祖母から一切聞いたことがなかった。
あるいは言っても信じてくれないと思って言わなかったのか……
このジャパリパークではいったい何が行われていたのだろうか?
他にも内線電話があったので色々弄ってみたのだが、断線でもしているのか何処にも繋がらなかった。
オオウミガラスが何それと聞いてきたので、これは遠くの人とお話しできる道具だと教えてやる。
でも、さっきお話できなかったよね?
……相手が居れば通じるんだ。
オオウミガラスはここに来るのは初めてなのか色々興味深げに辺りの物を見ている。
私も私でかつてここで何があったかを調べるために物色しているが、機械の整備関係や動物の図鑑、通行記録などを見付けることは出来たが肝心なものは何一つ見付からなかった。
地図とにらめっこしながら何処に人がいるかを考える。
仮に居なかったとしても港などこの島の外に通じているところがあれば向かう必要があるだろう。
目的地を変えるか?
いや、まずは図書館に行くべきか。
フレンズ達が良くやってくる場所ならば何かしらの情報が手に入る確率は高い。
と、ここで時間を潰していたらいつの間にか日が暮れてしまっている。
今日はここで寝泊まりするとしよう。
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