第3話 草原
目的地を変えよう。
人がいるところへ案内してくれとオオウミガラスに頼むとヒトってどんなけもの?と返事が帰って来た。
どんな獣と言われても私のような頭に羽が付いてたり尻尾が付いていたりしない動物としか言いようがない。
決してゴリラのフレンズではない。
確かに同じ霊長類だが決してゴリラのフレンズじゃない。
だから、ゴリラのフレンズじゃないんだ。
なんだその目は。
とりあえず人のいる場所を探すには図書館に行けば良いらしい。
あるのか……図書館……
あるのは良いのだがこのオオウミガラスのような文字の読めない子が圧倒的多数のような気がするのだがちゃんと図書館として機能しているのだろうか。
図書館へ行くには草原を通り抜ける必要があるらしい。
オオウミガラスにかなりアバウトに方向を示されただけで本当に合ってるかどうか不安になる。
大丈夫なのだろうか?
ともかく、故郷へ帰るためにも向かわねばならない。
私とオオウミガラスは図書館がある方向へと歩き始めた。
さすがに草原と言うだけあって非常に見晴らしが良く、遠くまで景色が良く見える。
遠景に気を取られていたせいか突然私の足元がガボッと沈没してそのまま何かをぐにゅりと踏み潰した。
同時に上がる悲鳴。
私の下から何かが飛び出してきた。
まるで何処かの学校の制服を思わせるような格好で、黒い縞模様の特徴的なブレザーを着ている。
そして何より頭にケモ耳!!
私の下から飛び出してきた少女は頭にケモ耳が付いていた。
だが、人の耳も付いていた!?
どう言うことだ!?
普通はケモ耳が付いている場合は付いてないんじゃないのか!?
それは頭のは飾りなのか!?
それとも側面の耳が飾りなのか!?
そんな事を考えている場合じゃない。
飛び出したきた彼女は私達に急いで隠れるように促す。
何でもここら辺に足の速い大きなセルリアンが移動してきて大変危険だかららしい。
でも、それは先程のセルリアンではなかろうか?
私達は件の大きなセルリアンは既に居なくなったことを伝える。
こんな見晴らしの良い平原でフレンズを見掛けなかったのは、セルリアンの出現で隠れたり退避していたのかもしれない。
待て、オオウミガラス。
その言い方だとまるで私が岩を投げて退治したように聞こえるじゃないか。
だから、私はゴリラのフレンズではない!!
何とか誤解を解いた後にお互いに自己紹介をした。
ブレザーを着たの彼女はセグロジャッカルと言うらしい。
オオウミガラスとは知り合いらしく親しげに会話をしている。
ふと、ハッとした様子でセグロジャッカルは周囲を見渡して慌て始めた。
どうやらセルリアンから逃げる際に落とし物をしてしまったらしい。
手の動きを見る限りそれは帽子のような被るもののようだ。
オオウミガラスは既に手伝う気満々であるし、私も急いでいる訳でもないのでセグロジャッカルの探し物に付き合うことにする。
まずはセグロジャッカルがまるで犬みたいに地面の匂いを嗅ぎながら帽子の位置へと向かう。
しばらく行くとセグロジャッカルは首を傾げて元来た道を戻り始めた。
どうやらこの辺で落としたらしい。
もしかしたら私達は要らなかったかも思い始めた矢先のなので気合いを入れて探すとするか。
約1時間後、3人でそれなりの範囲を探したにも関わらず帽子は見付からなかった。
途方に暮れるセグロジャッカルをオオウミガラスが励ましているのを横目で見ながら空を見上げた。
鳥のように空から探せれば簡単に見付かるだろうにと、鳥を見ていたのだが何やら鳥が鳥らしくない奇妙な動きをしている。
なんだあれは?
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