(多分0キロカロリー)のキャンディーワールド
ぼやけた視界が綺麗になったところで、私は辺りを見回した。
第一印象は『わたあめ』。
もうパステルカラーのわたあめの世界だ。
そこにクッキーやチョコレートなどがあったり、奥にはロリポップキャンディーの林がある。
「ここは……、お菓子の国だっ!」
私は今までに見たことがないくらい目を輝かせた。
だって、有名な童話や、有名な企業のお菓子の国でレースをする映画の世界と同じ!
まあ、童話の方は家がお菓子なんだけどね……。
ただ一つだけ違うことがある。
それは人の声が聞こえない。
ロリポップキャンディ林の声も聞こえないし、そもそもこの世界が生きている感じがない。
とても静かで。
生きていない。
と、いうことは私が一番先に生まれたってことかっ!!
ちょーラッキーだし、将来私の次に何かの生命が誕生したとしたら私が女王になれる!こんなにも素晴らしいことはないだろう。
「さぁーってと、何をしましょうかしらぁ?」
少し、というかだいぶ文章的に変だったかそこは長い目で見てくれ。
なんせ私は小4だ。
話がだいぶそれるけど、『ロリコン』というやつは、どこからどこまでなんだろうか?
幼稚園から?それとも産まれたてでもう『ロリコン』?
そして小学校3年生くらいまでが『ロリコン』……、いやっ、案外私も『ロリコン』の分類だったりして……。
「って、今は関係ないだろうがぁーーっ!!」
大きな声で叫んだ。
私の声が外へ外へと広がり逃げてゆく。
逃げていったので、私の場所ややはり静かだ。
『ぐぐぅぅ〜』
お、お腹の音だ……。
私は家に着いている時は必ずと言っていいほどお腹が空いている。
特に体育があった日などは………。
そして家に食べるものがない時は私の人生は終了したのと違いはない。
「けど今は…!」
辺り一面にお菓子がある!!
試しに地面の生きていない草を食べてみたら、それは薄っぺらいグミだった。
続いて後ろの生きていない茶色い木!
「いただきますっ」
背伸びして取った小枝はチョコレートがついたステック菓子だった。
「おいしぃ〜」
それから、クッキーにチョコレートに……!
今更『カ、カロリーがっ』とか『虫歯にっ…』とか考えてられない。
美味しいものは美味しい!!
それに、この世界にはカロリーというのはないかもしれない。
いやっ、この世界は全て『0キロカロリー』だろう。
うん。絶対にそうだ。
自分に無理やりでも言い聞かせ、もう一口生きていない草を食べ、当たり前のように。というか自然と瞬きをしたその瞬間。
ーそこは、気持ち悪いほど見覚えのある私の家の玄関だった。ー
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