フレンズのぼく

のらきつね

第1話

しんりんちほー。豊かな木々に覆われ、その中はあまり暑くならず心地の良いものとなり動物の数が多く、植物もよく育つ。

じゃぱりパークでいちばんかしこくて、文字の読めるはかせのいるとしょかんがあるので、自分が何の動物フレンズかを知るために訪れるフレンズも多い。そしていまもまた一匹

ふわふわとした淡く柔らかいショートの髪型の上に大きく可愛らしい耳が乗っている。


「ボクは…一体なんの動物のフレンズなんだろう。もうすぐわかるんだ」

彼女はとしょかんにいるはかせに自分の動物を聞きに来たフレンズだ。

ここにくるまで彼女は何度かじゃぱりパークで一番の元気者にしてドジな “サーバル”と間違われたことがある。サーバルには会ったことはないけれど、ドジな子と間違われるのはなんだかくやしい。だから知りたかったのだ。自分が何者なのか



そんなことを考えながら歩いていると 道が行き止まりになっていた。

「?」

この道を行けばとしょかんに行けると聞いた。

だけれどもう進めなくなっている。代わりにそこには棒と三角が板に描かれている

「これは…足跡…なのかな?」

さばくちほーでは 砂の後を通ると足の形に砂が寄る。それと似ているのだ。この形は。

「ん…じゃあこっちに行けば誰かに会えるんだね…」

その背中を梢から見下ろす二つの影があった

「かかりましたね…」

「期待できそうなのです」


「?」

板のあるところで曲がると 木の根でトンネルが作られていた。少し進むと少し開けて洞穴のようになっていて、さらに奥には道が二手に分かれている。

「こっちだね!」

奥が気になる彼女は迷うことなく進むのだった。看板に書いてある“もんだい”など目もくれずに

『もんだい ラクダはいちどにコップ500ぱいぶんの みずを のむことができる

はいならみぎへ →

←いいえならひだりへすすもう!』



「うわー まだ続く。不思議…」

彼女は夢中で進むのだったが…

「あれ、元の場所に戻ってるのかな…?」

この木々の迷路は“もんだい”に正解しないと進むことはできない。根気のあるフレンズなら諦めずに何度も挑戦して突破することはできるだろう。だが

「まぁ…粘るほどではないか…」

彼女はその忍耐力は持ち合わせてなどいなかった

「うん…?」

すぐに折れて木のトンネルを引き返し彼女はさっきの→のところに戻ってきてしまうのだった。

行きには気づかなかったが →の板と道にはフレンズが一人通れるくらいの十分な隙間があった。

「ここから通れそう…」

としょかんへ向かうのに本当は→に従う必要はなかったのだ。

→を通り抜けるとすぐに開けた場所に出て彼女の目に不思議な形をした石が飛び込む。

「これが…としょかん…?」

「その通りなのです」

「まったく、アトラクションを迂回するなんて、期待外れなのです」

彼女の問いかけに答えたのは彼女のきいたことのないフレンズの声だった。

彼女は見渡すも声の主を見つけられない。

「上なのです」

2羽のフレンズが音もなく空中にホバリングしていた

「あなたが博士ですか?」空中のフレンズに問いかける

「そうなのです。私は助手のワシミミズクです。こちらが博士のアフリカオオコノハズク」茶色の耳のような羽を持ったフレンズが応えた。

「お前も何のフレンズか聞きに来たのですか?」灰色の博士と呼ばれたフレンズが彼女に問いかけた。


「そうですよ。何のフレンズか教えてください」

彼女の旅の目的。ただ一つの大きな興味だった。

「博士“アトラクション“をクリアしてないフレンズには“料理”は無理なのでは?」

「なるほど。なら教えてやるのですお前は…」



「ふふふふんふ〜ふふふふふ〜♩」帰り道、足取りは軽い。最も興味のある面白いことがあったから。思わず鼻歌を歌ってしまう。その歌に釣られて来たのか、一羽の白と赤の綺麗な色をした鳥のフレンズが彼女の元に飛来した。

「はじめまして、私はトキ。上手な歌、そして可愛いのね、私の仲間かしら?」

「ボクは…ボクはスナネコ。今からさばくちほーに帰るところです」

「そう、スナネコっていうのね、挨拶ついでに一曲ワタシの歌、聞いてもらおうかしら…」

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フレンズのぼく のらきつね @kemolicht

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