第9話
「ふーん。 幼馴染ねぇ……」
学校の教室。いつもの様にナミに話した。
「仲良し幼馴染みだってさ。 大学も同じ所受けるみたい」
「へー……」
ポッキーをパキパキ食べながら、ナミが私の顔を見た。
「単なる幼馴染みじゃないんじゃない? ていうか、 それが猛烈アタッカーかもね。 友達情報だと、 その子も同じ所受けるって言う話だよ?」
「え……? 何それ。 やだ」
「まぁハッキリ分からないけど? とにかくお宅の彼氏も罪な人よね。 幼馴染みを大切にするんだもの。 普通仲良く電車乗らないでしょ」
ナミの言葉にあの光景が蘇る。
「不安にさせないって言ってくれたよ」
「何とでも言えるよね……」
「う……」
やだやだ。そんなのやだ。
良く分からないけど、仲良くしないで欲しい。
放課後、またもや重たい気持ちを引き摺り駅へと向かう。
電車に乗り、椅子に座った。
「樹! 待ってよっ」
「電車行っちゃうぞ!」
明らかに聞き覚えのある名前と声が耳に響いた。
え? 今何と?
電車のドアが閉まる寸前。
手を繋いだ二人が滑り込む様に乗って来た。
私の目の前に……。
ガタンっと揺れ、走り出す電車。
「水元君……?」
「あ……」
パッと繋いだ手を離した。
これはどういう事でしょう?
「いおり……」
呼ばれても返事はできない。
手を繋ぎ電車に乗って来たのは、水元君とこないだの子……?
私はさっと席を立ち、揺れる電車の中、別の車両へと移動しようと歩き出した。
「樹? どしたの?」
後ろで女の子の声がする。
水元君は黙ったまま……。 追いかけないんだ。
ふーん……。
もういいや。
今は何も聞きたくない。言い訳言うのかな?
私は違う車両の椅子に座り、何を言うのか考えた。
いや、何も言わないかも知れない……。
何か疲れた?
窓の外を駅に着くまでじっと眺めた。
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