第七話【私、仲間を増やします】
「大分魔核が溜まったわね」
私は20個近い大小の魔核を眺めていた。
どうも近辺のヴォルヴォッドは駆逐してしまったらしく、ある日を堺に殆ど取れなくなってしまった。
ダークとブルーが優秀過ぎるわね。
もっとも危険が減るのは良いことだからいいんだけど。
現在、洞窟の回りには広い広場が完成していた。
最初は洞窟のすぐそばに並んでいた柵も、周囲が拓けるのに合わせて広がって行った。
今はちょっとした球技が楽しめる程度の広さが確保され、そこに魔法で作った岩のテーブルや、木製の椅子が並んでいるわ。
広場の端には例の高性能魔方陣も設置されている。今は木の枝を束ねて作った簡易的な屋根まで設定されていた。
私はブルーが煎れてくれた野生のお茶を優雅にいただきながら、鋭気を養っている最中だ。
そこ!
だらけてるとか言わない!
「それじゃあそろそろメイド人形を生み出しましょうか」
「はい。賛成です」
今は護衛としてダークもそばに控えているので安心安全だ。ヴォルヴォッドがいくら出てきても、彼女の弓が一瞬でやっつけてくれるだろう。
なお狩猟型のダークは簡単な攻撃魔法が使用可能なのよ。
そうそう、今まで説明をはしょっていたけれど、魔法と魔術はちょっと違うの。
細かい説明は省くけど、魔法の上位版が魔術だと思ってくれて良いわ。
「じゃあ、三人で話し合った、農業型と、製造型を作るわよ」
「はい。……戦闘型も捨てがたいのですが……」
「気持ちはわかるけど、戦闘型はあまりにも特化型だからねぇ」
「彼女は本当に戦闘しかできませんからね」
そう、どうしても戦闘型が後回しになっている最大の理由は、他のメイド人形はある程度の汎用性を持たせているのだが、戦闘型だけは、ほんっっとーに戦闘しか出来ないのだ。
その分、その強さは信頼出来るのだけれど、現在のサバイバル状態だと、人数不足が祟って、なかなか生み出すことに踏み出せなかった。
そもそもブルーとダークが強いので、そんなに問題はないんだけどね。
「それじゃあいくわよ」
私はダークの時と同じ手順で、二体の生体ゴーレム。農作業型と製造型メイド人形を生み出した。
二人は私たちとお揃いの毛皮ビキニを身に纏うと少し嬉しそうだった。
農作業型は緑のボブカットで、体型は普通。私に一番近いかも知れない。
製造型はオレンジの髪で、体型はやや細めで、やや背が高い。
「じゃああなたがグリーンで、あなたがオレンジね」
農業型をグリーン、製造型をオレンジと名付けた。
わかりやすいの、大事よね!
大事なんだからね!
「よろしくおねがいしますー。ミレーヌ様ー」
グリーンがペコリと頭を下げる。大量の農業関係者のデータが反映されているせいか、どっかのんびりしている。
「よろしくなっ! ミレーヌ様!」
オレンジはオレンジで気軽な感じだ。身分関係をあまり気にしない職人気質なのかも知れない。
でも同じ職での上下関係には厳しい。
私からすると元気で良いと思う。
「じゃあ二人とも、ブルーの言う事を良く聞いて頑張ってね」
「はいー」
「了解だぜ!」
うんうん。
ダークはさっそく狩りに出掛けて、ブルーが二人に諸事情を説明する。
オレンジがささっと、石斧を改良すると、それを持って出たグリーンが、凄まじい勢いで回りの森を切り開いていった。
ちょっとびっくりね。
そういえば、農業型はもの凄い低品質の魔核で量産型の生体ゴーレムしか作ったことが無かったわ。
本当、戦争ってイヤね。
オレンジの道具生産能力は凄まじく、全ての道具が一気にグレードアップした。
ダーク用の狩猟道具は特に力を入れて作成しているので、明日渡すそうだ。
ちなみに、あくまで参考値だけど、基本的なメイド人形のスペックを公開するわね。
今いる高性能型はさらに★が1つずつ高いと思ってもらっても大丈夫よ。
ハウスメイド型メイド人形(ブルー)
戦闘★★☆☆☆
家事★★★★★
農業★★☆☆☆
牧畜★★☆☆☆
狩猟★★☆☆☆
採掘★☆☆☆☆
工作★★☆☆☆
特殊★★☆☆☆
農作業型メイド人形(グリーン)
戦闘★☆☆☆☆
家事★☆☆☆☆
農業★★★★★
牧畜★★★★☆
狩猟★★☆☆☆
採掘★★★☆☆
工作★★☆☆☆
特殊☆☆☆☆☆
製造型メイド人形(オレンジ)
戦闘☆☆☆☆☆
家事★★★☆☆
農業★★☆☆☆
牧畜★★☆☆☆
狩猟☆☆☆☆☆
採掘★★☆☆☆
工作★★★★★
特殊★☆☆☆☆
狩猟型メイド人形(ダーク)
戦闘★★☆☆☆
家事☆☆☆☆☆
農業★★☆☆☆
牧畜★☆☆☆☆
狩猟★★★★★
採掘☆☆☆☆☆
工作★★★☆☆
特殊★☆☆☆☆
オレンジはしばらく、金属鉱床を探すのに注力するらしいわ。
その辺は全部お任せよ。
とにかく私を楽させてね。
私は一仕事追えたので、ブルーの給仕でお茶を飲んでのんびりと過ごす事にした。
うん、働き過ぎよね。
彼女たちが献身的に働くのを横目に、私はのんびりとティータイム。
早く楽して、面白い事を探したいわね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます