第76話『愚か者とナイフ』

6歳の時、オヤジから〇〇をもらった。

僕に〇〇を渡すとき、オヤジの言ったセリフを思い出す。

「ぼうず、〇〇を持つ時、一番大切なことは何か、わかるか?」

僕が首を横に振ると

「一番大切な事、それはな、使わないときは鞘に入れておくってことさ」と言ってにやりと笑い、〇〇の研ぎ方と使い方を教えてくれた。

教わった通り、軽くオイルを塗ってしまってあった〇〇は、久しぶりに取り出してみてもあのころと同じ輝きを見せてくれた。

「〇〇はな、使い方を知っているものが持つととても便利な道具になる。だが、愚か者が持つと身を亡ぼすんだ」

僕はオヤジの言葉と一緒に、〇〇をデイバッグに入れた。


────


問題:『〇〇に入る適切な語句を述べよ』


だまされないぞ。この手の問題はきっとひっかけだ。自動車やバイクなんていう普通の言葉は入らないに違いない。もしやミサイルか? でも〇が二文字と言うのも曲者だな。便利な道具だが愚かだと身を亡ぼすか、知識とか知恵かもな。うーん、なんだろう? 武器? 自信? あーもう、わかんなくなってきた、どうせ伏字なんだから「アレ」でいいや。決定!

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