EPISODE12『不思議』

「はぁ~春休みもあと5日しかないのか~」


「そうだね~」


「なんで春休みって短いんだよ…」


「冬休みも短いと思うけど…」


「春休みと冬休みは違うんだ!!」


「何が違うの?」


「雪が降るか降らないかとかさ…」


「それって光が雪遊びをしたいだけじゃなくて?」


「うるせー。細かいことは気にすんな!」


ショッピングモールから帰ってきた瀬麗那たちは、リビングに集まると今日の出来事について話していた。


「そういえば精霊の事だけど、精霊ってどれくらいいるの?」


「さっぱり分からん!」


「即答っ!?」


「だって俺が知っているのは時覇終と今日戦った精霊だけだからな」


「ということは、またあのような精霊と戦う事になるんだよね?」


「まぁ確かにそうなるが頻繁に出現する訳じゃないから心配しなくていいぞ。それに俺達が戦う相手は精霊だけじゃないぞ?」


精霊だけではないという言葉に瀬麗那は思い当たることがあった。そもそもここは魔法が存在する世界なのだ。瀬麗那たち以外にも魔法使いがいるというのは自然な考えだった。


「僕達みたいな魔法使いってこと?」


「そういうことだ」


「つまり、僕達は精霊と戦いながらも状況によっては他の魔法使いとも戦わなくちゃならないってことなんだね」


「ま、瀬麗那の魔力なら何とかなるんじゃないか?」


「そうなのかな…」


「そうだよっ!瀬麗那さんなら平気平気♪」


「そうだよね!そういえば魔力砲?を放った後はあまり疲れた感じはしなかったし頑張るよ!」


「「えっ!?」」


瀬麗那が言い終えて光と心春を見ると二人は〝嘘だろ?〟っといったような顔で驚いていた。


「二人共どうしたの?」


「い、いや…」


瀬麗那の言葉に疑問をもった光は少し考え込んだ後、瀬麗那に問う。


「瀬麗那は魔力砲を放った後、本当に疲れを感じなかったのか?」


「うん。少し疲れた気はしたけどそこまで酷い疲労感は感じなかったよ?」


「そ、そうか」


「どうしたの?」


「いや、瀬麗那はただ単に魔力の保有量が多いだけなのか、それとも…」


光は何か大切な事を言おうとしたみたいだけど、途中で話すのを止めてしまった。


「それとも?」


「もしかしたら瀬麗那には精霊の力もあるかもしれないな。そうでないと膨大な魔力を使用してもあまり疲れない理由の説明がつかない」


「精霊の力、僕が?あの…僕、人間なんだけど…」


「精霊の主な特徴は魔力の保有量が普通の人よりも圧倒的に多い。たとえ弱い精霊でも最低で人間の倍以上はあるって話だ」


「要するに〝精霊は普通の人よりも魔力の保有量が圧倒的に多いから、魔力が切れる時はよほどの極大魔法を使うか相手から何かしらの対抗魔法を受けるときくらいだろう〟ってお兄ちゃんは言いたいんじゃない?」


「じゃあ僕は精霊の力を持った人間ってこと?」


「まぁそういうことになるかもな」


まだ瀬麗那は自分が精霊の力を持った人間だという事に疑いを持っているが正直わからない。


「とりあえず僕がそうだとして〝精霊の力を持った人〟って他に居たの?」


「俺が知っている限り居ないな」


「私も知らないよ?」


「え…本当に…?」


「あぁ」

「うん」


「………」


「ま、まぁ俺達が知らないだけで、何処かには居るんじゃないか?それが敵か味方かは置いといて」


「そ、そうだよ。何処かに居るかもね」


「それなら精霊とか魔法使いをどうにかしないと」


「遭遇した時にどうにかすればいいんじゃないか?」


「そういう問題!?」


「今どうこうしたって意味無いし、手の打ちようがない」


どうやらこの二人、結構なマイペースらしい。とはいえ遭遇しないと何も出来ないのは確かなのも事実。


いや、一つだけ出来ることがあるではないか。


「それなら基本の魔法を教えてくれない?」


「いいけど。どこで?」


「それなら裏庭でいいんじゃない?あそこなら丁度いいでしょ♪」


「そうか、裏庭があったか。じゃあ瀬麗那、先に行っててくれ」


「え?う、うん分かった」


ということで、簡単な魔法の使い方を教わる為に僕は庭に向かった。

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