EPISODE11『帰宅』

「今日は色々あったな」


「うん。確かに色々あったね」


「あったあった!なんか瀬麗那さんはチャラ男に強引にナンパされてたし、お兄ちゃんが殴って気絶させたと思えば気絶している筈なのに急に立ち上がるし、爆発があったと思ったら、そこには綺麗なのに無表情な精霊がいるし最後は逃げちゃうし……とにかく今日は色々ありすぎだよ~」


「ホントだよな」


「あっ色々と言えば、瀬麗那さんが魔法を使えるようになった事は嬉しいよ!」


「まぁな。一応戦力が増えたわけだし」


「(そういえばあの人、誰かに操られていたみたいだけど一体誰に操られていたのかな…)」


瀬麗那はチャラ男が操られていた事が気になり光に聞いてみる事にした。


「そういえば、男の人を操っていたのってあの精霊の魔法の影響なの?」


「いや、違う。マリアは人を操る魔法は持っていない…」


「それじゃあ一体誰が…」


そこで光は一人の名を呟く。


「時覇終ときはおわり」


「時覇終?」


「その名前は私も聞いたことある!」


「時覇は元々、光属性の魔法を使う精霊だった」


「精霊だったんだ……あれ?〝だった〟ってどういう事?」


「最後に時覇と戦った1年前、まだ上手く魔法が使えていなかった俺は当時精霊の中で一番強かったと言われていた時覇に遭遇した。当然俺は圧倒されていたから防御魔法で防ぐので精一杯だった。だから最後の手段で一度しか使えない〝魔力無効化〟の魔法を使用し時覇は魔法が使えなくなったはずなんだよ。もちろん永久的な魔法じゃないからいつかは解けるがいくらなんでも解けるのが早すぎるし、何故アイツは魔法を使えているんだ?」


光は凄く不思議がっている様子だった。


「何かの影響で魔力を取り戻しちゃった…とか?」


「確かにその可能性がないわけではない。それと不味いことがある」


「何がまずいの?」


「なんでか知らないがアイツは属性を2つ持っているんだ。使う魔法は対象の精神を操る〝無属性魔法〟と〝光魔法〟だ。特に光魔法は俺の魔法を力押しなら消し去れるくらい強力だ」


「2つも?そんなひとって他には?」


「少ないとも知られているひとのなかには誰1人居ないほど貴重でイレギュラーな存在なんだ」


「そんなに強い精霊相手ならどう戦っていけば…」


「時覇を倒せるのは現時点では瀬麗那、お前しかいない」


「えっと……もしかしてそれって、最後は僕が倒さないといけないってこと!?」


「そういうことだ」


「瀬麗那さんならなんとか出来るかもね!……あ、もう家に着いたよ」


こんな話をしていると自宅に到着した。半日ほどしか外に居なかったのに、なんだか懐かしさを感じるのは気のせいだろうか。


瀬麗那たちはドアを開け、そして揃って同じ言葉を発する。


「「「ただいま!」」」

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