EPISODE6『魔法って?』

一通り話し合った後、お風呂の時間まで瀬麗那と光は光の部屋に居ることになった。


「そういえば、さっき扉を開けるために心春ちゃんが使っていたあれって何?」


「あ~あれは魔法だよ」


「魔法?」


やはり瀬麗那の予想は当たっていた。


「何だお前、魔法を知らないのか」


「うん」


「まぁ記憶が無いんだから仕方ないな」


と言って光は簡単に魔法について話す。


魔法には〝魔力の保有量〟〝属性〟〝相性〟などがあり、〝魔力の保有量〟はその人が持っている魔力の量の事で、保有量が多ければ多いほどより強力な魔法が使える。〝属性〟とは使用者が使える魔法の種類のことだ。主に火属性、水属性、光属性、闇属性、無属性の5属性あるが基本は一人につき一つの属性しか持てない。そして〝親和性〟とは使用者が魔法をどのくらい扱えるかの基準のことだ。


「魔法ってどうすれば使えるの?」


「〝想う〟ことだな」


「〝想う〟?」


「頭のなかでイメージしてそれを信じることで発動できる」


そう言って光は右手を前に出し目を閉じる。


「詠唱……我、本宮光の名の下に小さな灯火よ……ファイア」


そう言うと光の手のひらに一つの炎が出現した。


「おぉ凄い!」


「外ならもっとデカイのが出せるんだけど、まぁ今は室内だからな」


「僕にも出来るかな…」


瀬麗那は折角魔法のある世界に転生したのに魔法が使えないのはもったいない、出来るならやりたいと無邪気な仔猫のように眼を輝かせている。


「出来るんじゃないか?」


「よし!ちょっとやってみよう!」


「いや、ちょっとまて!急にやると危険な場合もあるから…明日にすれば良いんじゃないか?」


「それもそうだね」


というわけで魔法は明日に持ち越すことになった。


「お兄ちゃん、瀬麗那さんお風呂沸いたよ~」


っとそこに、一階から心春ちゃんの呼ぶ声がした。


「「は~い!」」


「(あっ僕、女の子だったんだ…」


「どっちが先に入る?」


「君が先に入ってきなよ」


「いや、お前が先でいいよ」


「分かった。じゃあ、お先にっ」


そう言って瀬麗那は光の部屋を出ようとしたところで一旦立ち止まり光の方に振り向いて思っていたことを呟いた。


「そうだ、光?」


「なんだ?」


「なんか〝お前〟って呼ばれるの苦手だから…これから名前で呼び合わない?」


「そうか?まぁ良いけど」


「じゃあ僕は〝光〟って呼ぶから」


「俺は何て呼べばいいんだ?」


「瀬麗那でいいよ」


「わ、分かった」


「じゃあ、また後でね〝光〟」


「あぁ後でな〝瀬麗那〟」


こうして瀬麗那は名前で呼び合った後、光の部屋を後にしてお風呂に向かった。

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