存在




【田中の双子】

主に某動画サイトを拠点に活動する双子の現役高校生歌手。熱狂的なファンも結構いる。歌詞は双子の兄が、作曲は双子の弟が担当している。共感できるものや心に響き聴き手の心を掴むような歌詞、思わず中毒になりそうな音から親しみやすいメロディで幅広い年代から好評を得ている。歌っているのは曲にもよるが基本どちらも。柔らかい兄と力強い弟の声に魅了された人も多いだろう。

顔出しはしておらず、イラストを使用している。静止画だったり動画だったりする。以前は双子が描いていたが現在のイラストの担当は別の人のようだ。名前は公表して無いが、どうやら双子のクラスメートだとか。(ブログ【TANAKA's】より)

雰囲気にあったイラストでさらに曲を引き立てており、こちらにもファンがついている。この担当は女性で将来はイラストレーターになりたいそう。





ーーー以上某百科サイトより



「改めてコイツ等すげぇよ」


頼まれて描き始めたとはいえ、彼らにはかなりファンがついている。そんな人達に直接関わっている私って…


「これが普通の女子高生なのだろうか」

「そもそも普通てなにさー」

「私がしりた…ひゃっ」


なんか変な声でた、ゆーくんのせいだ


「酷いなー僕は悪くないよ?」

「私の心境を読むな馬鹿」




「月日って早いね」

「話そらすな馬鹿」

「…曖瀬ちゃんもだいぶ言うようになったしね」

「うっさい馬鹿」

「僕には立派な名前が」

「馬鹿」

「もしもしケーサツですか彼女が暴言を」

「ゆーくんの彼女よりひーくんの彼女がいいんだけど」

「………ありがと」

「いえいえ…っていたの!!?」

「あ、歪魅おかえり」

「ただいま」


ただいま昼休みの教室です


「ところで曖瀬ちゃんに質問です」

「何よ」

「今は何月でしょーかっ」

「はい、9月です」

「そーですね既に秋になろうとしてまぁす!!てか秋だよね!!」

「…早いな」

「前の章の時点でまだ春だった気が」

「こーら曖瀬ちゃん?」


気づいたらあれから早5ヵ月

友達なんて出来ないのは当たり前

普段は双子のイラストを書き続けています



「そんな曖瀬ちゃんにプレゼントー」

「え?何々?」

「コレ」


そう言ったひーくんから渡されたものは沢山の可愛らしいケーキだった


「わーいっありがとうひーくん!!」

「あれ、僕にありがとうは?」

「何でゆーくんに言わなきゃいけないの」

「歪深が泣くから止めてやれ」

「うう…」


勝手に泣いてればいいと思います


「てかなんでケーキ?」

「今日、何日?」

「16日…あっ」


9月16日、私の誕生日だ


「覚えててくれたんだ!!」

「当たり前だよ!!曖瀬ちゃんの誕生日を忘れるわけないじゃない!!」

「ゆーくんには言ってない」

「最近僕への扱い酷いよね」

「嘘ウソ。ゆーくんもありがとーこのアップルパイゆーくんでしょ?」

「うん!!アップルパイ僕!!」

「あ、やっぱウザイ」



ケーキの中に紛れ込んだアップルパイ

ゆーくんはアップルパイしか作れないんだよね、しかもこれがかなり旨い。これだけ旨い。…なんで?


「大したもの無くてごめん」

「全然嬉しいよ、むしろ何も貰えないと思ってた私がごめんなさいだよ」


まず自分の誕生日忘れてたしね





「ねぇ、曖瀬ちゃん」

「ん?」

「産まれてきてくれて、ありがとー」

「…へ?」


え、何なの?ゆーくん頭おかしくなった?そんなこと母さんにも言われたことないのに…


「ありがとー…?」

「悪い、歪深が変なこと言って」

「いや、変なこと言い出すのはいつものことだからいいんだけどさ」

「2人ともほんとひどーい!!僕は素直なだけなんだよーっと!!」



この後も、2人に沢山祝われた。

今までに無いくらいの祝福に戸惑ったけど、素直に嬉しかった。


「はっぴーばーすでー曖瀬ちゃーんっはっぴーばーすでー曖瀬ちゃーん♪」

「Happy birth day to you.」

「うわ豪華なバースデーソング」


歌の上手い2人からのバースデーソングは勿体無い位で…録音すればよかった…



「曖瀬、」

「何?」

「これからも、幸せに生きろ」

「ん?うん、わかった」


とうとうひーくんも頭がおかしくなったのだろうかと心配になった私であった








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