第124話 村と言うよりも栄えた町と兵隊と懐かしきアイツ
「なんかさ、兵隊の数がやたらと多くない?
交通安全週間?」
「??…目的地が直ぐそこなのでしょう。
あ、見えてきましたね」
丘を越えると眼下に塀に囲まれた町が見える。その先には果てが見えない森林が広がっている。
その間、町を守るように即席の柵とテントが陣取っていた。
「まるで戦争かよってほどの兵隊の数だな」
テリオの言うとおり、兵士と思わしき鉄黒色がまばらに景色を染めていた。その有り様にトランたちも驚きを隠せない。
この差は単純に
ともかく、前代未聞の出来事に戸惑いを隠せない一行。
「…ノベルさん、オレら何処で泊まるの?」
「とりあえず宿を探しましょう。兵士は夜営でしょうから、逆に空いてるかもしれません」
「…避難して居なかったり?
逆に商魂たくましい奴らが来てるって線は?」
「…無いとは言えませんね。野営も視野にいれましょうか」
そうして門の手前まで来たときだ。門番よりも綺麗な騎士が馬から降りて近づいてきた。
「失礼ですが、
「ええ、我々は冒険者ギルドの職員と、その護衛の冒険者です」
やたらと丁寧な騎士の対応に戸惑うオレたちに代わりノベルさん本人が対応した。この中のトップに挨拶させちゃったよ。本来はオレかテリオの役目じゃね?
テリオの奴はフリーズしてるし。
「やはりそうでしたか。私はアルセイム王国軍北方方面軍所属、サムウェル・バーチェスと申します。
総司令より丁重にご案内するよう仰せつかっておりまして、ご同行よろしいでしょうか」
「分かりました。ではお願いします」
騎士が騎乗すると緩やかに前進する。オレらの戸惑いは深まるばかりだ。
だってねぇ。此処来る途中の町の差別意識出しまくりからのコレだぜ。
「…どゆこと?」
「連合王国の中でもアルセイム王国は比較的
「慣れたくないわぁ」
そんな会話を交わしながらオレたちは町の中をずんずんと進む。公益が盛んなのか大型の馬車がすれ違っても余裕ある大通りを突き進むと両サイドの食材の店舗では盛んに呼び込みをやっていた。
「兵隊だけじゃなくて民間の客も多いね」
ナナイの言うとおり私服姿の男女がちらほら。もっとも皮鎧を装備してるから冒険者なんだろね。ってことは夜営確定だな。
「ねぇノベルさん、夜営の場所が決まったらオレたち買い出しに出るね」
「そうですね。今ここで分かれると合流が大変そうですからねぇ。すみませんがお願いします」
そんな会話を交わしていると反対の門が見えてきた。(デケェなぁ~)とぼへっとしてたら門の先を見てドン引きしたよ。何よこのテントの数!一面テントだらけなんですけど!唖然としてると懐かしい魔力を感知した。
「アレ?この魔力の波動…」
つられるようにナナイとホルンが一点を見つめる。後続の馬車のメガネボーイと魔術師は?顔。吸血鬼娘はドン引き顔で「敵ではないんですか?凄まじい魔力の塊なんですが…」と。あれは多分、魔物への威嚇だったと思うよ。その証拠に徐々に魔力が抑えられてるもん。アレだね。向こうもこっちに気づいたね。
「あの、どうされました?」
案内の騎士が困惑しながらオレたちを見てるが…。
「何事かと思って急いだんだが、あれはアンタらのお仲間かい?」
「仲間っつーかダチかな」
返事しながら振り向くと知らない美人の女騎士がいた。だれ??案内の騎士は美女の騎士を見てビビりまくってる。
「け、剣聖様、司令のところにいたのでは??」
へー、このべっぴんさんが剣聖なんだ。
…
…
「え!この美人のねーちゃんが姉弟子ぃぃ!!」
「お?じゃあアンタらはガド先生の弟子かよ!
懐かしいなぁ!バー様やウィルのアニキは元気か?」
「みんな元気だニャ!」
オレの背中から顔を出したホルンが元気いっぱいに答える。視線の先の黒い点は、はっきりと馬車に見えるほどに近づいていて…。
「おー!やはりトラン殿ではないですかぁ!」
嬉しそうに声を張り上げる
どういう状況だよ!とっ散らかってるから誰か説明プリーーズ!!
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