第41話 策を練る者たち
俺の名はテリオ。
生まれ故郷に帰ったら化け物に追い回され、どういうわけか魔族に助けられたら今度は一緒に化け物退治をしていた。
で、今俺は恐ろしい《悪魔》に尋問を受けてます。
オヤジ、おふくろ、先に逝く息子を
「なるほど。テリオさんですね?よくわかりました」
パタンとファイルを閉じる悪魔、びくつく俺。
「このまま貴方を返してあげたいが我らとしても今は忙しい。なので
ああ、鍋でコトコト煮られ…働く?
「ではリリン君、彼を《例の寮》まで案内してあげてください」
「かしこまりました。マスター」
そうして綺麗な獣人の女性に案内された。
おれ、この
…
……
「で?実際は彼をどうするつもりだい?」
冒険者の装いに量産の剣を腰に下げた
「そう警戒なさらないでください陛下。お話ししますゆえ」
魔王の内面を見抜いていた
「最終的に《彼》には人間領で『冒険者ギルド』を立ち上げてもらおうと思ってます」
ほう、とギルマスを見る魔王。
「狙いは?」
「情報です」
「先の騒動、冒険者から…トラン殿ですが、彼の提出物にこれがありました」
異様な形をした《ランタン》らしき破片だった。
「これには魔獣を凶暴化させる一種の《呪い》が掛けられておりました」
ここでひと息つくと魔王の目をしっかり見つめ、
「明らかに《外部》から我らに対する攻撃です。冒険者を預かるギルドマスターとしてこれを見逃すつもりはありません。犯人を突き止めるつもりです。
それに、アンテナを広げておけばいざという時には役立ちますから」
ここまで聞いて魔王は大きくため息をはくと
「アンテナが何かはわからないけどニュアンスで理解できたよ。
でも《彼》を人間側のギルドマスターに仕立てあげる事をよく私に話したね?
一応、《我が国》とギルドは別組織だから気を使わなくても良いんだけど?」
「それはまあ…」
そこで区切ると今度こそ覚悟を決めた顔をして魔王に答える。
「この件に、ナバル君たちを巻き込むことになりますから」
…
……
「ここまでで寮の説明は終わりますけど何か質問はありますか?」
「はいっ!り、り、リリンさんは恋人がおりますでありましょうか!」
質問ひとつに魂をすり減らす思いをするとは思わなかったぜ。
リリンさんはビックリしたあと
「内緒です♪」
と素敵な笑顔で答えてくれた!
「ぐはぁ!!」
ダメだ破壊力ありすきです!
オヤジ、おふくろ、俺を生んでくれてありがとう!
今日からここに住むわ、さようなら!
「テリオさんって面白い人ですね♪
まるで『トラン君』みたい」
その一言に固まる俺。
誰だその『トラン』ってヤツは!
俺は心の中でライバルに宣戦布告をぶちかました。
(…怖い魔族じゃありませんように)
…
……
「へ、へ、ぶぇっくしょん!」
「トランばっちいニャ」
そう言いながらオレの鼻を拭いてくれるホルンさん。これアレだね。他人のを見てると『腐れリア充が!』って思ってたけど自分がやられるとクッソ恥ずかしいね。
でも何でだろう?風邪でもひいたかな?キメラって風邪ひくのか疑問だが。それにホルンは《始祖の少女》が来てからやたらオレに引っ付いてくる。…何でだろね?
そこへナバルが一枚の羊皮紙を持ってきた。
「なあトラン、変わった依頼が来たんだがどうする?」
「変わった?誰かの護衛とか?」
稀に種族の長の息子辺りが狩り初体験する際の護衛、なんてのも張り出してあったりと冒険者ギルドには以外とその手の以来があるんだよ…。
「護衛にかわりないんだが…
『冒険者ギルド新人研修』の一貫で、実際の冒険者の狩りを体験させるらしいぜ。で 、その際の『狩り』と『護衛』の2役欲しいんだと」
「へー、研修やるほど新人を入れたのか?」
「らしいな。解体とか受付辺りが元々人手が足りなかったらしいしな。
ただ東側の狩りで日帰りだから報酬はそんなにないけどな」
へー、ん?待てよ?…
▪ トラン脳内分析 ▪
受付➡リリンさんを筆頭に美人揃い
新人の受付=優良株
⬇
狩りで
⬇
新たな出逢い
⬇
オレにも春が来る
「ナバル君、僕らはいつもギルドのお世話になってるよね?ここで一丁
「…言ってることは正しいのにお前が言うと胡散臭い事ハンパないな」
「相変わらす失敬だね君」
(
とにかくだ!待っててね新人さん♪
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