2章 青年剣士とクマ
第31話 始まりとカード更新
「そっちいったぞ!トラン!」
「おりゃァ!」
「こっちだニャー!」
「兄さん!もう一匹来ました!」
オレたちは今、鋼鉄の
ご覧の通り今じゃナナイとホルンもすっかり戦闘に馴染んでる。
ジャァァァァ!!
「
銀の曲刀がサソリを捉える。宙を舞う尻尾。同時にホルンの一撃が腹部を貫いていた。
2体目のサソリもオレが頭を潰し、ナナイの魔術で足は拘束されていた。どのみち鋼鉄だろうがオレの爪相手じゃあ紙装甲ですわ
。
「勝ったニャ♪どうするニャ?」
「一匹はギルドに納品で良いんじゃね?」
こうしてオレたちは
早いものでナバルは17才、ナナイは13才になっていた。
…
「
オレの感想にナバルは首をかしげ
「いや…騒がしすぎねぇか?」
「何かあったんでしょうか?」
ナバルとナナイの心配をよそにホルンはフルーツジュースを頼んでた。
「町に来たらお約束だニャ♪」
「だな!」
フルーツジュースを旨そうに飲む2匹のキメラ。
呆れ顔のナバルと微笑むナナイ。
騒がしい原因はギルドに入ると納得した。
『緊急連絡
「ベヘモスとかマジかよ」
「以前は
「50年くらい前じゃねぇか?あれはヤバかったよなぁ」
「群れってことは最低5体以上か」
「オマエのナマクラが唸るな」
ギルドは相変わらず騒がしかった。受付で魔物の買取り札をもらい解体場の受付まで持っていく。
「よお、坊主ども。今日はどんな獲物だ?」
オレはリュックからサソリの死体を出す。
「おいおい!メタルナイトスコープスかよ!しかも大型だな」
くすんだ銀の鱗をもつサソリ。
全長は 8m~12m前後、尻尾の針には神経毒が仕込まれており刺されれた獲物は一時間もすれば死に至る。
素材は防具に利用でき、針も武器から工業製品と用途は多いため高値で売れる。しかしサソリ単体でA+ ランク相当の戦力がある為挑む者は少ない。
「はいよ、確かに受け取ったぜ。何時ものようにこいつを持っていきな」
オレは渡された紙を見て驚いた。
「おっちゃん、これずいぶん高値じゃね?」
解体班のおっちゃんは困った顔をして、
「コイツは特にデカイのもあるが他のと比べて特に品薄だからなぁ」
このサソリ、だいたい金貨20枚から25枚が相場なんだが今回は35枚で取引された。オレはナバルに(もう一匹どうする?)と見るがナバルは顔を背ける。
実はこのサソリ、その身は
オレたちはギルド受付に戻り換金を済ませる。
「エヘヘ、リリンさん♪これお願いします」
「トラン君、はい、どうぞ。みんなもお疲れさまね」
リリンさんは皆にも声をかけてくださる。
「うっす」
「ありがとうございます」
「…ニャ」
オレの最近の悩みはホルンがリリンさんに対抗意識?を燃やしてるらしい事だ。よくわからんのだが…
「はぁ、だからアンタはモテないんだよ」
とオレの心を
「そういえば皆が来たらギルドマスターが部屋に来てほしいらしいわよ?暇なときで良いからって」
ギルマスが?なんだろう?特に用もないからオレたちはさっさと行ったわけだが…
みんな、ノックしてから入るのを徹底した方がいいぜ。
「ギルマス~なんか用?」
オレはうっかり扉を開けてしまった。
そこには…
正座をするギルドマスター。
足の付け根(中央部分)を踏みつけてる美人秘書。
ギルマスは幸福の絶頂といった顔をして
「もっとぉぉ!」
その台詞を聞き終わる前にオレは扉をそっと閉めた。
メンバーを見る。
少女二人は外れにいたため中は見えなかったようだ、キョトンとしている。
ナバルは頭を抱えていた。
「今日は帰るか?」
「ああ」
「「???」」
部屋がドタドタ騒がしい。扉が『ガバッ』と開き
「ぜはぁ!ぜはぁ!、よ、ようこそ皆さん」
慌ててギルマスがオレたちを迎い入れた。
「でさぁ、なんか用なの?」
秘書さんがお茶の用意をしに行きオレらは何となく居づらさを感じている。
…そりゃあねぇ、さっきがさっきですから。ギルマスは汗を拭きながら
「じ、実はですなぁ、王城がらみで皆さんにお伝えせねばならんことがありまして」
ほお。そういえば最後に師匠に合ったきり『急な任務でこっち来れない』とは聞いてるなぁ。秘書さんに配られたお茶を飲みながらそんなことを思い出してた。
「皆さんはベヘモスの件は」
「さっき見たよ。町も騒がしかったしな」
「そうでしたか。それならば話は早い」
ナバルが答えるとギルマスは何やら地図を取り出す。地図の割には大雑把な気がするが。
「すみません。正確な地図はまだ作成してなくて。で、ですな」
ギルマスは
「こちら東の先に『死滅の谷』があります。主にここらの魔物はそこから湧くと言われてますな」
そういえばバアちゃんから聞いた記憶があるなぁ。ギルマスは今度は西に丸をつけ
「この先にはいわゆる『魔境』と言われているエリアになります。で、今回はここで問題が起きまして」
「それがベヘモスの大量発生?」
オレの問いにギルマスは弱った顔をして、
「それだけではないのですよ」
と続けた。ベヘモスの群れがいるのは西側の北の方。昔オレたちが採掘したのはもっと町側だね。そして南側に遺跡があり、
「そこの遺跡にですね。厄介な魔物がおりまして、それと
ベヘモス
巨人の様な身体にオーガ種の様な筋肉。頭は牛とも鬼ともつかない姿でこの森においては平均50m前後はある魔物。見た目が一見似ているとされる《ミノタウロス》とは比較にならないほど巨大で戦闘力も高く完全に別の種類とされている。
「え、そんなのが群れでいるのにそんな奴らにタメはる化け物ってなに?ドラゴン?」
ドン引きするオレ。
「はあ、ドラゴンでも古龍種でしたら単体で同格かそれ以上の驚異ではありますが…」
オレを見るギルマス。え?なに?
「それが
…
…
「はぁ?
オレの台詞にその場全員がポカンとする。アレ?
「あ~トランよお、オマエのパワーとスピード異常だからね?オマエの武器もぶっ飛んでるからね」
今度はナバルが呆れ顔でそんなことを言う。
「え~オホン!まず
数ある熊系の魔獣で最強とされる魔物。頑丈な皮膚とパワーとスピードに優れている魔獣だが特に危険なのは両手合わせて10本の
「と、まあ、こんなとこですな。実際に3匹の中でも一番大きいので30m とどくか位の大きさだそうですが…」
ギルマスはお茶を飲み、オレたちを見回すと
「一匹のベヘモスが返り討ちに合いました。それも一瞬だそうです」
「マジで?」
「だよなぁ」
「「うわぁ」ニャ」
「ただ、数はベヘモスの方が圧倒的に有利なためか
「それで
「さようで」
はあ、思ったより危険な状態なのね。師匠の任務ってのも…
「それでですね、魔王軍としてもこちらに被害が及ぶ可能性があるため町の西側で陣を張ってるわけです」
なるほどね。あの亀以上の危険度なのはわかったが…
「今冒険者の西側での狩りや任務は控えさせてもらう予定です。それで皆さんにお願いなのですが…」
「おう…参戦しろと?」
ギルマスは慌てて
「いえいえ、それはさすがに」
ギルマスは一息入れると
「今、上級冒険者に魔王軍への補給物資の運搬の護衛を予定してまして、そちらの協力を。ただ」
オレたちを見て
「ギルドカードの更新で内容いかんでですが」
「ほお…面白いじゃない」
「良いねぇ」
オレとナバルは不適に笑う。ナナイとホルンはニコニコ顔で
▪ ▪ ▪ ▪
名前 ;トラン
種族 ;最上位キメラ
モデル;
戦闘能力;S(変動アリ)
保有魔力;S(変動アリ)
保有能力;浸食型魔力崩壊
捕食型魔力抵抗
風魔法、土魔法
称号 ;魔女の守護者
;剣狼の弟子
;森の風来坊
▪ ▪
名前 ;ナバル・グラディス
種族 ;
戦闘能力;S
保有魔力;測定不能
保有能力;測定不能(魔法剣使用可能)
;上級剣術
称号 ;測定不能
;剣狼の弟子
;中級薬師
▪ ▪
名前 ;ホルン
種族 ;最上位キメラ
モデル;
戦闘能力;S(変動アリ)
保有魔力;S(変動アリ)
保有能力;捕食型魔力崩壊
範囲型魔力抵抗
白虎王の加護
風魔法、水魔法
称号 ;魔女の守護者
;白虎王の後継者
;熊の盟友
▪ ▪
名前 ;ナナイ・グラディス
種族 ;
戦闘能力;C+
保有魔力;SS+
保有能力;最上位精霊魔法
;中級杖術
称号 ;測定不能
;測定不能
;上級精霊術士
▪ ▪ ▪ ▪
アレ?みんなすげぇ成長してね?てかホルンは戦闘力オレとタメかよ!
森の風来坊ね…フラフラしてるから?ほっとけ!
「皆さん凄まじいですなぁ!普通はAAA でも規格外なのにその上まで行かれているとは!」
ギルマスの反応にみんな上機嫌
「ぐふふ、ギルマスも成長してんじゃないの?」
調子に乗ってるオレの問いに
「ええ、お恥ずかしながら私も成長いたしまして」
嬉しそうに言ってきた。
▪ ▪ ▪ ▪
名前;ベルゼイ・ファウスト
種族;グレーターデーモン
戦闘能力;S+
保有魔力;SS
保有能力;測定不能
全耐性強化
称号;
;変態紳士
;露出卿
;ドM貴族←New
▪ ▪
「New じゃねぇよ!!」
スパーーン!
「だから高価なんだってば!」
「知るかー!」
大事そうにカードを拾うギルマス。
…
にしても遺跡の黒刃熊かよ…
白虎のじいちゃんの後ろ足を潰したのも多分そいつだ。つまり聖獣以上の戦力って事だろ?冗談キツいぜ。
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