第17話 ギルドカード

 ギルドカードが一応の完成を見たのでオレとナバルも作ってもらった。


▪ ▪ ▪ ▪ 


名前 ;トラン

種族 ;最上位キメラ

モデル;黒刃熊ニグレドラベア


戦闘能力;A(変動アリ)

保有魔力;A(変動アリ)

保有能力;浸食型魔力崩壊

    捕食型魔力抵抗

    風魔法、土魔法


称号 ;魔女の守護者

   ;剣狼の弟子

   ;森の留守番


▪ ▪ ▪ ▪ 


 う~ん、ツッコミどころ多々あるんだけどさ…

 『森の留守番』ってなんだよ!オイ!

 で、ナバル君なわけだが


▪ ▪ ▪ ▪ 


名前 ;ナバル・グラディス

種族 ;ヒューマン


戦闘能力;B+

保有魔力;測定不能

保有能力;測定不能(魔法剣使用可能)


称号 ;測定不能

   ;剣狼の弟子

   ;薬師見習い


▪ ▪ ▪ ▪ 


どういうこと?ナバル自身


「なんじゃこりゃ?」


 って言ってる。ウィルはどこかホッとしてるが…そうしたらギルドマスターが、


「能力が覚醒前なのかもしれませんなぁ」


 なんて言っていた。そういうこともあるのかもな。


 魔王はオレのカードを手に取り、


「ナバルも大概だが…トラン君、君も異常だよ?」

「森の留守番が?」

「プフっ!…いやいや、保有能力の事なのだが」


俺のツッコミに魔王が吹く。どうせ何時いつも留守番だよ。


「あー、あー、ごほん。

…私が言いたいのは浸食しんしょく型魔力崩壊と捕食ほしょく型魔力抵抗だな」

あったなそんな項目。


「浸食型魔力崩壊は、相手の魔力抵抗に関係なくじわりと食い込んでしばらくそこにとどまり続ける厄介極まりない性能だよ。

 続いて捕食型魔力抵抗だが、これも勘弁してほしい能力だね。受けた魔術や魔力崩壊の何割かを自分の魔力に吸収分解するんだ。昔それぞれの能力持ちと対峙したけど苦労したものだよ。二つ同時の保持者は初めて見たけどね」


 オレは目をひんむいた。なにそれ反則級だな!


「ちなみに、どちらも黒刃熊ニグレドラベアには無い能力だよ?」


 そんな説明を聞いて、


「お、おう」


 そう答えるのが精一杯だった。


 そんなやり取りが終わった直後ノックの音が聞こえ、さっきのエルフの美人秘書(仮)さんがお茶とお茶請けを持ってきてくれた。やっぱ綺麗だわ。お茶を配る美人秘書さんの左手薬指にオレは息をのんだ。

 …それはこちらでも同じ意味をもつはずだ。


 オレは我慢できずにギルマスに聞いた《問い詰めた》。


「なあ、ギルドマスターの奥さんって…こちらのお姉さまだったりしたりするの?」


 言われたギルドマスターは…


「…エヘッ♪」


 コイツ殴りてぇーーー!

 ちょう殴りてぇーーーー!

 かおに出てたらしい。魔王が笑顔で「まあまあ」なんて言ってオレをなだめてくる。

 こんな綺麗な奥さんの下着で遊んだんですよこのアホは!

 海パンで反省しやがれ!

 あ、コイツ露出卿へんたいだった。


 ギルドマスターと魔王の間で、今後 冒険者に『ギルドカード』を無料配布することが決まった。そこには新たにギルドランクを記載するとか。

 ギルドマスターはオレらに向くと、


「ナバル君とトラン殿にも伝えるけど、このカードはかなり高価だから無くさないでね?」

「さっきもいってたね」


 そういうナバルの問いに魔王は爆弾を落としやがった。


「なにせ素材がオリハルコンと龍水晶だからね」


 …は?

 オレは緊張しながら問いかける。


「ちなみに再発行になるといかほど?」

「…金貨百枚分?」


 固まるオレたち。金貨1枚で2~3万円くらいの価値だから…。


「コスパ考えろよぉぉぉ!」


 ギルドマスターは慌てて弁解する。


「試したんですよ!ミスリルや純粋水晶 なども試したんです!でもここまでの情報を反映させるにはカード本体にも魔力に馴染む素材が必須ひっすになったんです!」


 後半こうはん泣きそうになりながらも訴えてきた。それに後々転写させる装置本体も改良してカードも安価な素材にする研究もしてるとか。


「はぁ、それが完成するまでは緊張が続くわけね」


 オレは半ばうんざりしながらそう話を締めくくった。


「とりあえず簡単なクエストでも受けてくるよ」


 オレの言葉にギルドマスターが、


「それでは鉄鉱石の採掘を受けていただけませんか?」


 ナバルと顔を見合わせる。


「別に良いけど…足りないの?」


ギルマスは真面目な顔をして、


「ええ、安全面を考慮して期間限定きかんげんていで初心者には武器や防具を貸し出してるのですが…このままだとストックが尽きそうでして」


 …そういえば三人組ゴブリングたちも身に付けてたな。そういうことならばとオレ達はその依頼を受けることにした。

 じゃあ記念すべき初任務、一丁行きますか!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る