あの人みたいになりたい

@3786

第1話

 ここは遊園地。様々な遊具がある場所

 遊ぶ事が大好きなコツメカワウソにとってまさに聖地と呼べる場所でした

 カワウソ「わーいわーい!あははははおもしろーい!」

 カワウソ「ふう、遊び疲れてクッタクタ。次はどこで遊ぼうかな?…ん?」

 ハシビロ「じーーー…」

 コツメカワウソが気づいたのは物陰からの視線。熱いまなざしを送る主はどうやらハシビロコウのようです

 カワウソ「あ!ハシビロちゃんだ!おーいおーい!」

 ハシビロ「!!」

 カワウソ「えへへー、捕まえたぞー!一緒に遊ぼ遊ぼ遊ぼー?」

 ハシビロコウは照れながらもゆっくり頷きました

 カワウソ「何して遊ぶー?あ!あれ面白そー!いこいこ?」グィッ

 ハシビロ「えっとね…ってふわわ!」

 二人は色々な遊具を半ばコツメカワウソに強引に連れられながら回って行きます

 カワウソ「そうだハシビロちゃん、どうしていつもじーーっと見てるだけなの?教えてよー」

 ハシビロ「それはね…みんなとの輪に入る気をつい伺い過ぎて…」

 ハシビロコウの悩み、それは話しかけるタイミングがつかめない事でした。コツメカワウソには難しかったのかキョトンとした顔

 10秒くらい彼女なりに考えた答えはこうでした

 カワウソ「みんなに話しかけれないなら代わりに私がお話相手になってあげるね」

 ハシビロ「…!!」

 カワウソ「あれ?なんで泣いてるの?なかせちゃった?ふええどうしよどうしよ…」

 ハシビロコウは先ほどの何気ない言葉にえらく感激し何度もお辞儀をしています

 ハシビロ「もう大丈夫…それよりあそこに行かない?」

 カワウソ「よかったー!お友達をなかせちゃったらダメだもんね」

 ハシビロコウは初めて自分から誘う事に成功してすごく嬉しそうです

 コツメカワウソも自分に非がない事がわかったのか満面の笑みでついて行きます

 二人は様々な遊具に乗って大はしゃぎ

 メリーゴーランドにコーヒーカップ、次に行くのはバンジージャンプのようでした

 カワウソ「ここから飛び降りるんだって!よーしいーくぞー!」

 ハシビロ「あ!カワウソちゃん待って!」

 バンジージャンプにてロープを付けずに飛び出したコツメカワウソ

 このままじゃあぶないよー

 カワウソ「わーーーーーーーーー…ってあれ?飛んでる?なになにー!?すっごーい!」

 地面に着く前に掬い上げたハシビロコウ。基本的には陸上で生活してますが流石は鳥のフレンズ。あまり動かないとはいえ少しだけなら飛べるようです

 ハシビロ「危なかった…」

 カワウソ「わーいたっかいぞー!こんなの初めてー!」

 ハシビロ「ねえ、あなたはどこに降りたい?」

 コツメカワウソにとって飛ぶのは初めての経験。それは今日遊んだどの遊具よりも楽しい一瞬でした


 そして夕方

 カワウソ「今日はすっごく楽しかったよー!また遊びましょ?あ!そうそう!また乗せてね」

 ハシビロ「もちろん。こんな私でよかったら…いつでも誘ってね…私もあなたみたいになれるかな?」

 カワウソ「ハシビロちゃんなら大丈夫だよっ!また明日ねー!」

 コツメカワウソと一緒に遊ぶ事で少しだけ自信がついたハシビロコウなのでした

(終)

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