4錠
あれからまた少し眠った私は、そろそろ授業が終わるので教室へと戻ろうと廊下を歩いていた。
頭の中で、先程養護教諭の言葉が離れない。
彼が立ち去ったあと、私はふと気になったことを聞いた。
「あの…私ってどうやってここに…?」
すると、養護教諭は優しい笑顔をしながら言った。
「さっきの彼があなたを運んできたのよ」
「え?」
「彼、かなり焦ってたみたいね。慌ててここに運んできたから」
廊下を歩きながら、私は不思議な気持ちに駆られた。
男のコに運ばれたなんて、、、体重の事を考えると恥ずかしくて、彼と顔を合わせられない。
だけど、隣りのクラスだしそんなに気にはしなかった。
____________________
その日の放課後。
私はまだ少し痛みがあるので、部活を休ませてもらい、帰宅する為、昇降口へと向かった。
すると、前から何やら騒がしい声が聞こえてきた。
見るとそこには、例のあの彼がいるグループと、その取巻きが数名いた。
(うわぁ。凄いな、、、でもちょっと邪魔だなぁ)
私は心の中でそう思いながら、彼らを通り過ぎようとした。
「…おい」
すれ違う瞬間、彼が声を掛けてきた。
「頭、平気か?家まで送る」
取巻きを退け、私の腕を掴みながらそう言ってきた。
「…え? へ、平気です!」
急に声をかけられ、他の人の視線も気になり、焦って掴まれた腕を振り払った。
「あ、あの、送ってもらわなくても大丈夫だから!」
私は少しパニックになり、彼等から逃げるように走り去った。
____________________
そうしてしばらく走って、人通りが少なくなった所で足を止めた。
夢中で駆け出したせいか、息が上がり、頭の痛みも少しだけ酷くなったような気がした。
ふと、周りを見ると、公園が目に入った。
まだ息が整わない私は、公園の中に入り、近くのベンチに座った。
そして、肩で刻むように息をしながら、胸に手を当てた。
心臓の音が、ドラムを鳴らしてるみたいに、身体中に響いていた。
果たして、それは走ったせいなのか、私にはよく分からなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます