第17話
仕事を終わらせ家に帰った私は、早速元夫に今日の事を報告メールした。
突然女の人が仕事場に来るなんて非常識にも程がある。
『貴方の彼女、どういうつもり? 凄く迷惑だった』
そんなメールをした。
夕飯の支度の最中、夫から電話が鳴り話す事にした。メールでは埒が明かない。
『あいつ、 お前の職場に行ったんだ……。 以前カフェで働いているって言ったから……。 悪かったよ。 結婚の話とか出たけどオレはやっぱりお前がいい。 家族四人で新しく仕切り直そう』
『こないだも言った筈だよ? それはできないって……。 確かに子供の為を思うとそれがいいけど、 無理するのはイヤ』
『……信用ないのは分かるよ。 だけどもう一度チャンスくれないかな?』
一歩も引く気がない様子で話されても仕方ないので、改めてまた話す事にした。
電話を切り夕飯の支度を再開した私だが、やはり子供達の為と言う言葉に揺らいでしまいそうになる。
葉野君への気持ちは確かな物だがどうにもならないし、家族は一緒がいい筈だし……。
グルグルとした気持ちが押し寄せて、考えがまとまらない。
だけどあの人とはやり直す気持ちはない。だってあんな酷い別れ方をしたのだし、また彼女が来ても気持ち悪いし。
子供達には申し訳ないけれど、月ニパパで我慢して下さい。
「夕飯だよ〜」
二人をリビングから呼んだ。
今日はオムライスと野菜スープ。
野菜嫌いの子供達、野菜はミキサーにかけ牛乳でのばし鍋でコトコト煮る。
ご飯一つにも手間がかかる。
「「頂きまーす」」
元気良く食べ始めた。
子供の笑顔がやっぱり一番。この幸せは失いたくない。
と、私のスマホが鳴った。
見ると葉野君からだ。
『もしもし? 大丈夫なの? 電話なんかしてきて』.
『うん。 何とか家を出たよ。 話し合いしてね。 もう一度やり直す事はできないって言って部屋借りたんだ。 離婚の話し合いはまだ続くけど、 向こうも納得しつつあるよ。 で……、 今度会えないかな?』
『別居したんだ……。 私と会っても大丈夫なの?』
『たまにはいいでしょ? ずっと会えないままだったし』
突然の葉野君の別居に驚いた。そうか別居したんだ。離婚へ向けての話し合いもしてる。
私は?何を迷っているの?あの人の言葉に気持ち何か揺らいでしまったり、振り回されたり……。きちんと前を向かなきゃならないのに。
葉野君と久しぶりに会いたい。素直な思い。お互いの都合のいい日に会うことにした。
その前に……。やはりはっきり言わないといけない。夫にはっきり言わなければダメだ。やり直す事はできないと。
ベランダに出て夜気にあたる。少し涼しい風が吹き気持ちがいい。くっきりとした月を眺め、夫にはっきり告げようと決意新たにスマホを握った。
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