第20話 ザ・フライング・ダイナソー
『ザ・フライング・ダイナソー』
綾野祐介
大阪市此花区にあるUSJは今や押しも押
されぬテーマパークの雄だ。
最近では、プテラノドンに背中を掴まれた
ような態勢で空を駆け巡る「ザ・フライング
・ダイナソー」が人気になって長蛇の列がで
きている。
私は絶叫物は苦手なので、その手のものは
避けて別のアトラクションを楽しんでいた。
ふと、頭上で音がしたので見てみると「ザ
・フライング・ダイナソー」が通過したのだ
が乗客が見当たらなかった。
「なんだ、誰も乗せてないな。」
一緒に行った友人に声をかけると、その友
人も同じものを見上げていたが何も言わず黙
っていた。
一通り楽しんでの帰り道。ふと友人が話し
始めた。
「さっき、誰も乗ってないコースターが動い
てたろ?」
「ああ、あれ変だったよな。」
「実は乗ってたんだよ。」
「えっ?」
「だから、乗ってたの。」
「誰が?」
「俺みたいな者にしか見えない人が。」
それ以上は聞けなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます