第4話 首狩り

「ぎゃああああああああああ。」


 断末魔の叫びが響く。


 僕たちは綺麗に並んで土に首まで埋められ

ており全員同じ方向を向いている。身動きひ

とつ出来ない状態だ。僕たちと言ってもお互

い知り合いでもなんでもない。ほんの数ヶ月

前までは全く見たことも無かった同士だ。


 僕から見える方向だけでもかなりの数だっ

た。今から訪れる残酷な運命に震えているよ

うに見える。死にたくないのであろうか、み

んな頭を深々と下げて懇願しているみたいだ

が、その願いは聞き入れられる事はない。


 正確に順番通りにその首が刈られていく。

鋭い刃を持った鎌で一気に。血が滴り落ちた

り飛び散ったりはしない。ただ断末魔の叫び

が繰り返される。


「ぎゃああああああああああ。」


 一人の青年が近づいてきた。不思議そうに

話しかけてくる。


「僕は先日交通事故にあったんだ。今は怪我

も治って農作業に復帰できたんだけど、事故

のあと、自分の身体にどうも妙な事が起こり

出した。なんだか君たちの声が聞こえるよう

になったみたいなんだよ。」


 僕たちの声が聞こえる? 


「本当かい?」


 恐る恐る聞いてみた。


「本当さ、今だって君の声が聞こえているも

の。」


 珍しい人間もいたものだ、僕たち「稲」の

声が聞こえるとは。


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