第2話 悪魔
僕は悪魔と呼ばれていた。
いつからそう呼ばれていたのかは定かでは
ない。多分小学校に入ってすぐのときにはそ
う呼ばれていた。なぜそんな呼ばれ方をする
ようになったのか見当も付かなかった。
確かに変わった子供だったようだ。小学校
に入るまではほとんど自宅から出たことがな
かった。自宅に家庭教師を呼んで勉強ばかり
していた。語学・数学・物理、全ての分野で
高校卒業レベルには達していた。だから小学
校に入学して初めて受けた授業には驚いたも
のだ。両親は僕に普通の生活を送ってもらい
たくて小学校に入学させたらしい。
授業中の態度で周りの友達も何か察してい
たのだろうか、多少クラスでは浮いた存在に
なっていた。かと言っていじめられていた訳
ではない。得体の知れない近寄りがたい奴、
と思われていたようだ。そんな僕にも幾人か
の友達ができた。話のレベルを合わせる必要
はあったがそれほど苦にはならなかった。
ある日、思い切ってその中の一人に聞いて
みた。どうして僕を悪魔と呼ぶのか。答えは
簡潔だった。
「そんなの君が悪魔だからに決まってるじゃ
ないか。」
意味が判らなかった。容姿が悪魔のように
醜いとは自分では思わない。みんなと違う事
があるとしたら、
色か。
「僕だけ色が違うから?」
「そうだよ。他に何があるんだい?」
確かに僕以外の全員が黒かった。なぜ僕だ
け色が違うのかとは思っていたが、それが原
因で悪魔と呼ばれているとは気がつかなかっ
た。
僕の翅だけが白かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます