2人のめいたんてい

けものフレンズ大好き

2人のめいたんてい

 今日もジャパリパークを旅するかばんちゃんとサーバルちゃん。

 木陰の下でいつものランチ。

 ただ今日のランチは、いつものように平和には終わりませんでした……。


「それじゃジャパリまん食べようかばんちゃん!」

「うん」


『いただき――』


「容疑者確保ぉ!」


「うみゃぁ!?」


 大口を開けてジャパリまんを食べようとしたサーバルちゃんでしたが、突然後ろから飛びかかられ、そのまま地面に押し倒されました。

「サーバルちゃん大丈夫!?」

「うう……キリンじゃない! 何するの!?」

「それは自分の胸に聞いてみなさい!」

「・・・・・・」

 サーバルちゃんいちおう顔を近づけてみますが、胸まで届きません。

「そんなことできないよ!」

「それでもやるのよ!」

「ちょ、ちょっと落ち着いて」

 かばんちゃんが慌ててキリンちゃんを宥めます。

 それからキリンちゃんが落ち着くまで、サーバルちゃんがぷんぷんしながらジャパリまんを食べ終えるぐらいの時間がかかりました。


「一体何があったんですか?」

「ジャパリまんが盗まれたのよ! 今サーバルがジャパリまんを食べているのがこれ以上ない証拠だわ!」

「私は盗んでなんかいないよ!」

「じゃあ食いしん坊のサーバル以外誰がジャパリまんを盗むって言うの!?」

「だから違うってー!」

「あの、少なくとも今食べているジャパリまんは盗んだ物じゃないですよ。それに最近ずっとサーバルちゃんと一緒にいますけど、盗んだところは見たことないです」

「う……かばんがそう言うなら……」

 キリンちゃんも黒セルリアン討伐の功労者であるかばんちゃんまでは疑えません。


「……はあ、はあ、ようやく追いつきました。突然走り出すから何かと思いましたよ」

「あれ、キンシコウさんも?」 

 かばんちゃん、キンシコウちゃんが現れたことに驚きます。

 てっきりいつものキリンちゃんの暴走かと思っていました。

「キリンから話は聞いていると思いますが、実はかなり深刻な状況で、セルリアンが関わっている可能性もあるんです。だからハンターとして私も調査に協力しているんです」

「具体的に何があったんですか?」

「だからジャパリまんが――」

「キリンはちょっと黙ってて下さい。実はこの辺りでジャパリまんが大量になくなる事件が起きてるんです。ジャパリまんは毎日ボスが運んでくるんですが、いつも配られる場所に行っても、ジャパリまんが全くないんですよ」

「つまりサーバルが盗んだのよ!」

「だから盗んでないよ!」

「じゃあサーバルの双子が!」


「あのキリンさん、ちょっと黙っててもらえますか」

「ぐぅっ!」

 キリンちゃん、邪険に扱われたことにダメージを受けます。

「こ、こうなったら先に犯人を見つけられるか勝負よ!」

 しかしすぐに回復し、かばんちゃんの返事も聞かずに駆け出します。

「えっと……」

「まあ彼女も彼女なりの意地があるのでしょう。本来ならかばんだけに頼るつもりでしたけど。それよりかばんは何か気付いたことはありませんか?」


「そうですね……」

 かばんちゃんは顎に手を当て考えます。

「今のところは何も、実際にジャパリまんを運んでいるラッキーさんを見てみないと」

「分かりました、こちらです」


 それからかばんちゃんとサーバルちゃんは、キンシコウちゃんに連れられラッキービーストがジャパリまんを配っている場所へと行きます。

 そこは見晴らしの良い開けたところで、辺りには隠れる場所も怪しい人影も――。


「うみゃー!」

「きゃー!」

「……なんだ、キリンかあ」


 明らかに怪しい人影にサーバルちゃんが問答無用で襲いかかると、それは調査中のキリンちゃんでした。


「何するのよ!?」

「ごめーん。でも何してるの?」

「ふふ、当然現場を調べてるのよ! 指紋とか足跡とか……」

 そう言ったキリンちゃんの足元は、ほとんどの足跡がキリンちゃんの足跡により潰されていました。

「ふーん。ねえねえかばんちゃん、何か分かった?」

「いや、まだ。……あれがジャパリまんを運んでいるラッキーさんですね」

 かばんちゃんは籠だけ持っているラッキービーストに近づきます。

 近づいてみると、今まで見たラッキービーストよりかなり汚れていることに気付きました。

「あのラッキーさん、ジャパリまんってどうやって持ってくるんですか?」

「ハタケデツクッタザイリョウヲコウジョウデカコウシテ、ソレヲボクタチガタントウノチイキマデモッテイクヨ」


「なるほど……ぼく、原因ルビを入力…が分かった気がします」


「本当!? すごーい!」

「やっぱりサーバルの親戚が……」

「だから違うって!」

「とりあえず今きたラッキーさんの後を付いていきましょう」


 それからしばらく待ち、その場にいる全員で、かばんちゃんの指示通り後を追います。

 ラッキービーストは一本道をしばらく普通に歩いていましたが、道が倒木で塞がれているところで立ち止まりました。

 ただ、すぐに器用に木の間をすり抜け、何事もなかったかのように先へ進みます。

  

「特に問題ない気がしますが……」

「確かに帰りは問題ないです。でも――」

 ちょうど入れ替わるように、向こうからかごにジャパリまんを乗せたラッキービーすたがやってきます。

 帰りのラッキービーストと同じように木の間をすり抜けようとしますが、


『ああ!?』


 カゴの部分がひっかって豪快に転んだ上、全てのジャパリまんを脇の坂道にぶちまけてしまいます。

 それでもラッキービーストは何事もなかったかのように前に進みました。


「……これが原因ですか」

「おそらく。他のラッキーさんよりだいぶ汚れてましたし」

「しかし空と分かれば一旦戻りそうな気もしますが」

「ダイタイボクラハソコマデカンガエテコウドウシテナイヨ」

「なにかキリンみたいだねー」

「なんですって!?」


 こうして消えたジャパリまん事件はあっさり解決しました。

 キンシコウちゃんが倒木を破壊してからは、ジャパリまんが消えることはありませんでした。


                                  おしまい


「これでかばんちゃんの勝ちだよねキリン!」

「……今回は犯人がいなかったから引き分けよ!」

「あーずるーい!」

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2人のめいたんてい けものフレンズ大好き @zvonimir1968

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