第18話 戦闘開始直前
「それで、ドンゲルはいつ仕掛けてくると思う?」
イオルは少し考えてから聞く
「何処か街の外に出るような用事はあるか?」
「あります。5日後に他の街で外せない商談の予定が入っていますので3日後には、この街を出ます。」
ハンナが手帳を開き予定を確認する。
「そういえば、そんな商談が入っていたわね。じゃあ、仕掛けてくるとしたらそこかしら?」
「まず間違いなくそこだろうな。奴らにとったら絶好のチャンスだからな。」
イオルは、確信した様子で言い切る
それを聞いたアリーシャは、表情を暗くした
そんなアリーシャの様子に気づいたハンナが話を切り替えた
「では、その時の作戦を考えましょうか」
「そうだな。敵の大体の戦力は、雇われ兵が30人と魔導士が1人らしいから作戦を考えよう」
「何か作戦があるの?」
アリーシャが問いかける
「ああ、一応考えている。」
「その内容はどのようなものですか?」
イオルは少し考えてから話し始める
「まず、1人いる魔導士はハンナに相手をしてもらおうと思っている。」
それを聞いたハンナは驚きの声を上げる
「ええっ⁉︎わ、私ですか!」
「あんたがやるんじゃないの⁉︎」
アリーシャも予想していな買ったのか驚いているようだ
「俺がやってもいいんだがそうすると他の兵士の相手はどうする?おそらく魔導士と戦うことになったら他の援護をする事は難しいぞ。その点兵士の相手なら援護しつつ戦うことも出来るだろう」
「で、ですが!私には荷が重いのでは…」
不安そうな表情でハンナが言う
「相手の実力がわからないから何とも言えないが多分大丈夫だろ。俺も援護するし心配するな」
イオルは、あっけらかんと言うがハンナはまだ不安そうだった。
「ハンナなら大丈夫よ。何たって私が選んだ護衛なんだからね」
アリーシャは、ハンナに笑いかけた
「それじゃあ後は、雇う冒険者についてだな。」
「えっ⁉︎冒険者を雇うの?」
「当たり前だろ。まさか、お前の所の少ない兵だけで何とかする気だったのかよ。」
「な、何よ!私の兵だって20人はいるわよ!」
ムキになってアリーシャは言う
「いるけど大した戦力になりそうに無いんだよなぁ」
「し、失礼ね!私の兵を馬鹿にしてるの!」
「と言うより多分向こうの兵士がここのより強いって事だ」
「そうなんですか?」
「まず間違いなくそうだ。捕まえた狙撃手の腕を考えると相当な手練れ達だろう。それに新たに冒険者を雇っている可能性もあるから戦力は多いに越したことはない。」
イオルの意見に納得した2人はすぐさま動きだした。
「ハンナ!直ぐに冒険者ギルドに言って依頼を出してきて!報酬はあなたが決めていいから」
「わかりました。直ぐに向かいます」
そういうとハンナが急いで部屋を出て行った。
あれから3日が経ちいよいよ街を出る日になった。
「いよいよね。」
「ああ、そうだな。」
「結局、今日までに集まった冒険者は15人でしたが大丈夫でしょうか?」
「集まらなかったもんを考えてもしょうがねぇだろ。割り切って敵の警戒だけしとこうぜ」
イオルは、もともと冒険者は保険程度にしか考えておらず集まらなかったら集まらなかったでも別にいいと考えていた。
「じゃあ、行きましょうか」
「そうですね。」
そう言い3人は馬車に乗り込み街を出た。
イオル達は合計3台の馬車で移動してとり一台にはアリーシャ達がのり残りの2台には商品と兵士が乗っている。馬車の周りには冒険者の護衛がついている。
「敵は既に街を出ているから街から見えなくなったらいつ仕掛けてきてもおかしくないと思うぜ。」
「本当に大丈夫なんでしょうね、あんたに私の命預けてるんだからちゃんと護ってよね」
「分かってる、心配すんな。魔力探知もしてるから敵が索敵圏内に入ったらすぐに分かる。」
それを聞いて少しは安心したようでアリーシャとハンナは表情を柔らかくした。
しばらくは、何事もなく馬車は進み3人は談笑していたのだが突然イオルが立ち上がり険しい表情をした。
「ど、どうしたの、イオル…」
「どうかしましたかイオルさん」
2人はイオルの様子が変わったことに気づいたのか不安そうだった
「ああ、敵が索敵圏内に入った。しかも人数が多いぜ」
イオルは、予想が外れたのか苦虫を噛み潰したような表情をしていた
「どのくらいいるんですか?」
ハンナが恐る恐る聞いてきた。
「ざっと数えた限り兵士は50人はいる予想より20人も多いぜ、しかもやたら大きい魔力が一つあるってことは敵の魔導士は中々強そうだ。それに比べてこちらの戦力は俺とハンナを含めて40人弱だぜ。10人も少ない上に敵の魔導士は強いときた、これは結構マズイぜ」
イオルが深刻な表情で言ってきたので、アリーシャとハンナも事態が予報以上に悪いことに気づき焦り始める
「ど、どうするのよ…ヤバいんじゃないの?」
「ど、どうするんですか…」
2人はイオルに意見を求めたがイオルの返答はシンプルなものだった
「どうするもなにも、俺の索敵圏内に入ったって事は向こうにも気づかれたってことだ今更逃げる事は出来ねぇんだから倒すしかねぇよ」
「あんた何も考えてないだけじゃないでしょうね」
「策はあるんですか?」
ガラにも無く威勢のいいことを言って誤魔化そうとしていたのがバレたのか二人は訝しげにイオルを見てくる
「まあ、厳しいが何とかするしかねぇだろうな。まあ、俺も死にたくねぇし必死にやるさ」
そう言うとイオルは空中から杖を取り出し3台の馬車を囲うような大きな結界を張った。
「すご…」
外にいた護衛の魔導士は、一瞬で張られた結界に驚きの声を漏らした。
そうしている間に、もう敵は目視出来る距離にきていた。
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