S.下剋上


500:名前:名無しの落ちこぼれ

さあタッグ試験当日な訳ですがね


501:名前:名無しの落ちこぼれ

一週間ハヤスギでしょwwwwww


502:名前:名無しの落ちこぼれ

まあ頑張ってみるけどさぁ


503:名前:名無しの落ちこぼれ

非戦闘組にとっちゃ午後の筆記試験のが大事だわ


504:名前:名無しの落ちこぼれ

非戦闘試験、今年は範囲広がって大変そう


505:名前:名無しの落ちこぼれ

タッグ試験に比べちゃマシよ


506:名前:名無しの落ちこぼれ

さて、ボコられてくるか……タッグ相手もやる気ねーしw


507:名前:名無しの落ちこぼれ

俺はちょっと頑張ろうかな……


508:名前:名無しの落ちこぼれ

マジ? 


509:名前:名無しの落ちこぼれ

されるがままってのも悔しいし


510:名前:名無しの落ちこぼれ

まあ確かにね

でも『彼』はどこまで勝ち続けるんだろうか


511:名前:名無しの落ちこぼれ

あの『火』の彼と『翼』の彼女も気になる


良いところまでいってくれよ~ 目にモノ見せてやれ!


512:名前:名無しの落ちこぼれ

あ、俺達は陰ながら見守ってるんで……


513:名前:名無しの落ちこぼれ

アイツらが勝ち上がったら本気だします


514:名前:名無しの落ちこぼれ

ってこんな事してる場合じゃねぇ! 試験当日だぞwww


515:名前:名無しの落ちこぼれ

はぁ、頑張りますか……




「おはよう輝」

「おはよう、炎」


お互い少し緊張してる、それが分かった。

何たって今日は試験初日。

全てが始まる日だった。


「……行くか」

「うん!」


準備はした。

やれる事はやった。

後は出し切るだけ。



「……『ハズレ』じゃん」

「チッ……」


対戦相手は、タクマの元取り巻きだった。

アレから一切オレには絡んでこなくなった奴ら。二人はオレを恨んでいるだろう。

何とか退学は免れたみたいだけど。彼らの立ち位置は今や教室の端っこだ。


「えー、まもなく決闘開始です。土石&真野ペア対原井&広田ペア――」


でももう自分は、お前らなんて気にも止めてない。



「――決闘開始!」



先生の声。

前の二人は杖を構える。

どうやら、オレ狙いの様だった。


「し、死ね――水よ、敵に水針を――」

「風よ、敵を破壊し――吹き飛ばせ――」


「……」


詠唱を開始する彼らに、オレは歩いて向かっていった。


「――『アイスアロー』!」

「――『ウィンドキャノン』!」


杖から現れる氷の矢と風塊。

それをオレは無視して、ただ真っ直ぐ歩く。


何故かと言えば――それは、確実に外れると分かったからだ。


「ッ、クソ」

「おいッお前なにやって――」

「お前も外して――」


オレの横を素通りしていく攻撃魔法。

そして次の詠唱を始めない彼ら。


もう、じきに辿り着く。

その首元に。



「――来ないのかよ?」



脅しじゃない。

ただ、疑問に思ったからだ。

タクマに引っ付いていた時は、散々オレを苛めてきた彼ら。

パシリにカツアゲ――それと暴力。


そんな事を自分に平然とやってきた彼らが、今オレを前に固まっている。


「ひッ――」

「おっおらッ!」


彼らが選択したのは、魔法でもない殴打だった。

力無いソレ。

オレは避ける事無く、その拳を受ける。



「感謝するよ。オレはお前らのおかげで強くなれた」



怖くも痛くも無い殴打。

身体を鍛えたからだろうか。

それともただ、彼らの力が弱すぎるだけか。



「ッ!」

「テメェのせいでタクマは――」


「――知らない、そんなの」

「なっ……」


「今は、オレとお前らの決闘だろ」


「ッ――!」



どうして逃げる? どうして立ち向かってこない?

それが腹立たしくて仕方ない。

本当にコイツらは、オレを虐めていた奴らなのか?


過去の自分は本当に弱かった。


――そして実感する。

オレはきっと、強くなれたんだと。



「――『パイロキネシス』」

「ひっ、あっ、あああああああッ!!」



その手を首元に、着火。

燃え上がる一人。意識が切れる彼。

呆気なくて倒したという実感すら沸かなかった。


「クソ! 『ウィンドボール』!」

「っ……」


「か、風よてっ、敵に! 『ウィンドブラスト』!」

「……」


「かぜ――!?」


もう一人はヤケクソになったか魔法を撃ってきたが。

狙いは定まっておらず、詠唱も噛み噛みだった。


……もう、終わらせる。


逃げながら攻撃する彼にじわじわと近付いて。


目の前――オレはソイツの首を掴んだ。



「パイロキネシス」

「ひっ――あ、あっ……」



後はそう『唱えるだけ』で白目を剥く彼。

言っただけで、火なんて宿していないのに。


今なら優生の気持ちが分かる。

こんな奴らに――この力異能を使うのはもったいない。



「――勝者! 土石&真野ペア!」

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