S.下剋上
□
500:名前:名無しの落ちこぼれ
さあタッグ試験当日な訳ですがね
501:名前:名無しの落ちこぼれ
一週間ハヤスギでしょwwwwww
502:名前:名無しの落ちこぼれ
まあ頑張ってみるけどさぁ
503:名前:名無しの落ちこぼれ
非戦闘組にとっちゃ午後の筆記試験のが大事だわ
504:名前:名無しの落ちこぼれ
非戦闘試験、今年は範囲広がって大変そう
505:名前:名無しの落ちこぼれ
タッグ試験に比べちゃマシよ
506:名前:名無しの落ちこぼれ
さて、ボコられてくるか……タッグ相手もやる気ねーしw
507:名前:名無しの落ちこぼれ
俺はちょっと頑張ろうかな……
508:名前:名無しの落ちこぼれ
マジ?
509:名前:名無しの落ちこぼれ
されるがままってのも悔しいし
510:名前:名無しの落ちこぼれ
まあ確かにね
でも『彼』はどこまで勝ち続けるんだろうか
511:名前:名無しの落ちこぼれ
あの『火』の彼と『翼』の彼女も気になる
良いところまでいってくれよ~ 目にモノ見せてやれ!
512:名前:名無しの落ちこぼれ
あ、俺達は陰ながら見守ってるんで……
513:名前:名無しの落ちこぼれ
アイツらが勝ち上がったら本気だします
514:名前:名無しの落ちこぼれ
ってこんな事してる場合じゃねぇ! 試験当日だぞwww
515:名前:名無しの落ちこぼれ
はぁ、頑張りますか……
□
「おはよう輝」
「おはよう、炎」
お互い少し緊張してる、それが分かった。
何たって今日は試験初日。
全てが始まる日だった。
「……行くか」
「うん!」
準備はした。
やれる事はやった。
後は出し切るだけ。
☆
「……『ハズレ』じゃん」
「チッ……」
対戦相手は、タクマの元取り巻きだった。
アレから一切オレには絡んでこなくなった奴ら。二人はオレを恨んでいるだろう。
何とか退学は免れたみたいだけど。彼らの立ち位置は今や教室の端っこだ。
「えー、まもなく決闘開始です。土石&真野ペア対原井&広田ペア――」
でももう自分は、お前らなんて気にも止めてない。
「――決闘開始!」
先生の声。
前の二人は杖を構える。
どうやら、オレ狙いの様だった。
「し、死ね――水よ、敵に水針を――」
「風よ、敵を破壊し――吹き飛ばせ――」
「……」
詠唱を開始する彼らに、オレは歩いて向かっていった。
「――『アイスアロー』!」
「――『ウィンドキャノン』!」
杖から現れる氷の矢と風塊。
それをオレは無視して、ただ真っ直ぐ歩く。
何故かと言えば――それは、確実に外れると分かったからだ。
「ッ、クソ」
「おいッお前なにやって――」
「お前も外して――」
オレの横を素通りしていく攻撃魔法。
そして次の詠唱を始めない彼ら。
もう、じきに辿り着く。
その首元に。
「――来ないのかよ?」
脅しじゃない。
ただ、疑問に思ったからだ。
タクマに引っ付いていた時は、散々オレを苛めてきた彼ら。
パシリにカツアゲ――それと暴力。
そんな事を自分に平然とやってきた彼らが、今オレを前に固まっている。
「ひッ――」
「おっおらッ!」
彼らが選択したのは、魔法でもない殴打だった。
力無いソレ。
オレは避ける事無く、その拳を受ける。
「感謝するよ。オレはお前らのおかげで強くなれた」
怖くも痛くも無い殴打。
身体を鍛えたからだろうか。
それともただ、彼らの力が弱すぎるだけか。
「ッ!」
「テメェのせいでタクマは――」
「――知らない、そんなの」
「なっ……」
「今は、オレとお前らの決闘だろ」
「ッ――!」
どうして逃げる? どうして立ち向かってこない?
それが腹立たしくて仕方ない。
本当にコイツらは、オレを虐めていた奴らなのか?
過去の自分は本当に弱かった。
――そして実感する。
オレはきっと、強くなれたんだと。
「――『パイロキネシス』」
「ひっ、あっ、あああああああッ!!」
その手を首元に、着火。
燃え上がる一人。意識が切れる彼。
呆気なくて倒したという実感すら沸かなかった。
「クソ! 『ウィンドボール』!」
「っ……」
「か、風よてっ、敵に! 『ウィンドブラスト』!」
「……」
「かぜ――!?」
もう一人はヤケクソになったか魔法を撃ってきたが。
狙いは定まっておらず、詠唱も噛み噛みだった。
……もう、終わらせる。
逃げながら攻撃する彼にじわじわと近付いて。
目の前――オレはソイツの首を掴んだ。
「パイロキネシス」
「ひっ――あ、あっ……」
後はそう『唱えるだけ』で白目を剥く彼。
言っただけで、火なんて宿していないのに。
今なら優生の気持ちが分かる。
こんな奴らに――
「――勝者! 土石&真野ペア!」
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