日常の終わり
「――――――!!何故か隕石があろうことか! 宇宙へと帰って行きました!!」
「原因は不明! 今夜7時から日本魔法協会が会見を開くとの事!!」
「隕石は一体、どうしてしまったのでありましょうか――」
けたたましく鳴る電気屋のテレビ。
そこには俺の住む町を、遥か遠くのカメラが映していた。
緑がいっぱいで綺麗な所だね。守れて良かった。
「しんど……あ、もう無理。腕上がらん……」
平日昼間朝九時。
疲弊した身体を、引きずる様に俺の家へと連れて帰る。
家族? 全員数十キロ以上離れた場所に居るから無理だ。
――ピリリリリ!
突如となる電話。
もう電話を取る力も、言葉を話す体力も無い。
ほんとだよ。
「ただいま……」
鳴り続ける着信音をスルーしながら、重い扉を開けてトボトボと帰宅。
――ピリリリリ! ピリリリリ!
ああもうさっきの挨拶とドアを開けたせいで力無くなっちゃった。
「おやすみなさい!」
二
恐らく二日程俺は眠るだろう。
そういうわけでさようなら。
未来の俺、頑張ってくれ!
☆
「何で出なかったの?」
「すいませんでした」
「何で出なかったの?」
「すいませんでした」
「……はぁ」
「何で出なかったの?」
「ふざけないで!!」
「すいませんでした」
恨むぞ過去の俺。
起きたら着信が100件+で溜まっていた。
怖かった。
それも――ほとんどの送り主が『碧優奈』だったから。
俺と違い魔法の才能に恵まれ、容姿端麗文武両道。そんな彼女の欠点が一つ。
非常に残念だが、彼女はこの出来損ないの妹だということだ。
「もう一度聞くね。お兄ちゃんでしょ? あの隕石打ち返したの」
「……はい」
「もしかしたら町ごと潰されてたかもしれないんだよ?」
「その時はその時だって」
「ふざけないで」
より一層低くなる彼女の声。
怖すぎる。
もう嫌な予感しかしない。
「こんな事は言いたくなかったの。それでも、家族で話し合って――次、お兄ちゃんが『やらかしたら』言おうって決めてたの……覚悟は良い?」
「良くない」
「良いんだね。それじゃ、これからお兄ちゃんには――」
聞こえてくる優奈の声。
通話口――飛び出してくる言葉は。
「――お兄ちゃんには、魔法都市にお引越してもらいます」
……は?
「……お兄ちゃん?」
「お兄ちゃーん」
「聞こえてるー?」
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