第2節 お仕事÷薬物
「お大事に」
睡眠薬を処方された私は、受付のお姉さんに見送られつつ薬局を出た。
気まずい放課後を経験したその足で、かかりつけの
(そんな生活してたらいつか死ぬぞ)
診察風景が頭をよぎった。仕事のし過ぎてかえって眠れなくなり、睡眠薬に頼るようになる。寝て回復すればするほど、さらに仕事に打ち込む。私はその繰り返しらしい。
(人間っていうのは、仕事をしたくないし病気になりたくないし死にたくない。だから仕事をして病気になって死ぬ奴は頭がおかしい。つまりだな、先生はおかしさの真っ直中にいる)
今日も、仕事の話をしていると説教された。
建物の外観とは違い、ここの医者である
ちなみに心療内科の『大森』という名前は受付の人のものらしい。おおもり・こもりと並べて憶えろと教えられた。
(劣悪な環境下で労働を強いられていたり、ワーカーホリック気味の性格ならまだ分かるんだが、先生の場合、何か別の理由がある気がするな)
カルテ片手に椅子にもたれかかり、一向に改善されない不眠について、そんな感想をこぼす。
(私を見たら分かるだろう? 人間は働かないほうが正常なんだよ)
そしていつもの台詞で、今日の診察は終わった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます