第6話自宅訪問

帰りのHRを軽く聞き流し、放課後になった。


 放課後になると、早速うるさい奴が寄ってきた。


 「柴咲~、相原~、一緒に帰ろうぜ~」


 加藤は放課後になると、決まってこう言い寄ってくる。


 「すみません。今日は部活があるので帰れません」


 これもいつも通りだ。


 相原はテニス部に所属している。


 テニス部は、水曜日以外部活なのでいつもこう言う。


 「そうか~、じゃあ仕方ないな~」


 ちなみにここまでが1セットだ。


 毎度思うが、毎日毎日同じやり取りしてて楽しいのか?


 俺は黙って見守る。


 「じゃあ~、一緒に柴咲ん家行こうぜ~」


 「おい。なんでそうなるんだよ」


 ここで俺は、はじめて口を開いた。


 「それに、相原は部活があるっつってんだから無理に決まっt……」


 「それはいいですね!」


 相原が名案だ! とばかりに手を打つ。


 「おい。部活行け! 部活!」


 まったく、やつは何を言い出すんだ。


 はあ~、疲れるな~。


 でも、やっぱり友達といるのは楽しい。


 この充実感は、ほかでは味わえないだろう。


 こんなくだらない話をしながら、結局相原は部活へ(当然だ)、加藤とは帰路で別れ、俺は一人で家へ帰った。



 「ただいま~」


 玄関を開けると、そこには華凛が立っていた。


 下を向いたままずっと突っ立っている。


 ?


 微動だにしない。


 まるで立ったまま気絶しているようだ。


 華凛と俺の間に沈黙が一人歩きしていた。


 シーーン……


 「どうしたんだ?」


 俺から沈黙を破ることにした。


 そう尋ねると、華凛は顔を上げながら「おかえり。」とだけ言った。


 その瞳には光は無く、どこか遠くを見ている様だった。


 ?


 なんだろうこの違和感は?


 体調でも悪いのか、もしくはアレを起こしたのか・・・


 と思っていると、ふと華凛がさっきと同じところを見ながら言った。


 「お客さん。来てるよ。」


 どこか変だと思いながらも、俺は二階へ上がることにした。


 アレだったら逃げたいし。


 「おう。わかった」


 そう言って俺は階段を上がる。


 客って言っても誰だ?


 ま、行けばわかるか。


 自分の部屋の前に立つ。


 そしてノックしてからドアノブを回す。


 自分の部屋をノックするのってなかなか新鮮だな。


 そこで目に入ったのは……


 いつもの室内と……


 「……」


 部屋の隅で体育座りしている女の子だった。


 ……そこまではいい。


 でもそこに居たのは……


 「な、なんで……」


 髪が花萌葱色で。


 「なんで……」


 瞳が紅い。


 「なんで……」


 槍を抱えた少女だった。


 だから俺はありったけの声で叫んだ。


 「なんでお前がぁぁ、ここにいるんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

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