第7話

KとBは窓際のテーブルで二人でランチを食べていた。

「あのさ」Kが切り出す。

「何?」Bは深刻そうにKに告げる。

「この間聞かせてくれた曲……」

「ああ,あれね」

「いい曲だったよー」

「いまさら?」

「あの時は言えなかったけど」

「まぁ音楽なんてもうやめるよ。商社に内定決まったから」

「へぇーよかったじゃん」

「まぁね~」

カフェの中にはピアノの音楽が流れていた。

二人はけだるげにコーヒーを飲み、ランチを食べる。

ランチはペペロンチーノとサンドウィッチだった。

Kはサンドウィッチを片手にピアノ曲に耳を澄ます。

「やっぱ音楽やりてえよなー」

「やればいいじゃん?」Bが咄嗟にいう。

「だけどさーもうそうもいかないわけよ。いろいろ試したけどなかなか売れる曲は作れねえし、それに才能あるやつはいくらでもいるぜ」

「じゃあ仕事しながら趣味では?」

「商社だから忙しいだろ」

「ふ~ん」

Bはスパゲッティをフォークにからめとって口に運んでいた。

「私ももうじき就職か」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る