第4話

Jに初めての彼女ができたのは高校二年生の春だった。バスケ部でならした過去があり、高校でもレギュラーとして活躍していた。

「おい、J」

「はい!」

監督に呼ばれる。

「お前シックスマンやってみろよ」

「え? いまのスモールフォワードじゃなくてですか?」

「ああ」

二年でレギュラーだったが、最近一年の新入生が全国大会に出た経験があるすごいやつでJは彼にポジションを譲ることになった。

「別にいいですけど」

内心悔しいが、しぶしぶそうなった。

試合でシックスマンとして出場したJは吹っ切れた思いでシュートを打ちまくりおおよそその試合の四分の一の得点を彼がいれた。

監督はやはり采配が正しかったと思い、Jは皮肉ながら三年の先輩が卒業するまでシックスマンを務めることになった。

「J君」

同年代のGというマネージャーがJに話しかける。

「なんだよ?」

「今日すごかったね」

「うるせえよ」

Jは冷たくしてしまった。

内心かわいくてほっそりしたGにJはひかれていたのだ。

練習でも少しお互いに意識するようになった。

「J君」

「ん?」

「今日一緒に帰らない?」

「ああ」

そんな感じで二人は下校した。

夏の太陽が沈んだ涼しい夜だった。川沿いには灰色の石が敷き詰められていた。二人で何を話すともなく一緒に帰る。

あくまで自然に、そして少しぎこちなく。

「あのさ」

Jが声を出す。

「何?」

Gがいう。

「俺と付き合って」

「うん」

そんな感じで自然にGとJは付き合った。

結局そんなこんなでGとJは付き合っていたが、Gが遠くの大学へ行ってしまい、そして二人は疎遠になり大学一年の頃に別れてしまった。


「なぁK」

ある日、JはKに話しかけた。

「なんだよ?」

「俺はまだ若いんだ。世間のことだって大して知らない」

「ああ」

Jはもどかしい気持ちをKに伝えた。

「わかるだろ? 俺の思い通りにはならないんだ」

「何がだよ」

Kは笑っていた。

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