第3話
BとKはベランダで空を眺める。
異様に大きな雲が白と黒を連れて後方からやってくる。
広大な空の大きさは計り知れない。
海も遠くの山も雲も太陽も星もすべてが遠くにある。
「星見てる」Kは言った。
「は?」
「星を見てる。いつも」
「で?」
「ほんとは近くでいいのに」
夜の暗がりの中に巨大な光が見えた。
夢で見たことがあるような懐かしい光だ。
「なにあれ?」
「光だ」
無数の星から光が大地に向かって降り注ぐ。
音がする。
雨粒みたいに。ぱらぱらと落ちていく。
「どこまで行ったって意味なんてないのかな?」
Kは言う。
「行ってみないと」
「きっと僕らは何かをまだ探している。意味があるかないかなんてその人の人生次第さ」
「だからあなたは純真なの」
「どこまで行ったって代り映えのしない日々だろうと、自分が意味を見いだせればそれでいい」
星が破裂する。空気が張り詰める音がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます