第2話

「就職したくねえよ」Kは彼女のBに話しかける。

Bの家に泊まりセックスをする。

内心Kは胸の中に夢をかかえていたのだ。

バンドで成功して華々しいスターになると。

Bはそんなことつゆ知らずといった感じだった。

「ねぇこんなとこに洋服ほおらないでくれる?」

BはKにいう。

「ああ」

KはBに興味なさげにギターを弾く。

ギターのコードを読み間違えずに彼は音楽を愛する。

大学でもバンドをやっていた。

就活を終えもうじき卒業だ。

「なぁB」

「ん?」

「俺たちどうなるんかな?」

「さぁ?」

「ああ」

「何?」

「いや」

「ん?」

「どうにも頭の中にこびりついた夢がとれない」

「純真ね」

「それだけは言われたくねえんだよ。もうまるで囲われた犬みたいに誰もが俺から離れていく。みんな俺の知らないところで噂話をしている。俺に会うときは俺ようの接し方なんだよ」

「は??」

「だからさ、もうこんなこと言っても俺の自意識過剰病かもしれないが、おおよそ他人から自分がどう思われているか知らないまま俺たちは死んでいくんだ。それで俺はいつも自分がどう思われているのか探している」

「就職したらそんなこと忘れるわ」

「だよなぁ。暇だとどうにもならないね。でもね忙しいときだって無意識に刻まれた心がちゃんと自分を動かしている」

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