第一試合 ヘラジカ対かばん ~始まり~

「試合を開始する前に、改めてルールの説明をするですよ」


 あれから数日が過ぎた。

 かばんとの勝負の話が広まり、ジャパリパークサイキョーを決めることになった。

 試合はトーナメント式の勝ち上がりで、くじ引きで勝負するちほーの場所を決める。


「風船を体に5個付けて、全て割った方が勝ちなのです」

「風船が全て割れる、潰れる。気絶する。決められたちほーから出る。で、負けになるです」

「武器は使って良いです。野生解放も使っても良いです。でも、ほどほどにするのですよ」

「審判は助手の私がやるです」


 ヘラジカの風船は頭・両肩・胸・背中。

 かばんの風船も同じ場所である。ちなみにカバンも帽子も着けていない。

 博士と助手のルール説明が終わり、試合が始まる。


「第一試合。ヘラジカ対かばん。試合開始なのです!」

 パーーーーーーーーーー


 ジャパリバスから試合開始のクラクションが鳴った。

 お互いの距離は300メートル離れている。

 開始位置はちほーのマップに紙飛行機を当てて決まった。


 まずは対戦相手を見つけなければいけないため、ヘラジカは辺りを見回してかばんを探す。

 すると遠くにかばんを見つけた。白い雪にかばんの服は目立ったのだ。


「かばん! 勝負だ!」


 ヘラジカは叫ぶと、かばんに向かって走った。

 膝から腰ぐらいの高さまで雪が積もっていたが、雪を散らしながら走る。


「さすがはヘラジカなのです。あの程度の雪をものともしないのです」


 ヘラジカの気持ちは昂っていた。

 しかし


「!?」


 かばんまであと少しというところで、ヘラジカはかばんを見失った。



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