第11話 友達の作り方 その2

どういう事だ?

それこそ、雇い主の子とベビーシッターという上下関係によって断られなくする相手だという事だろうか。

そんなのだったら僕には出来ないじゃないか。

「お互いが助け合う、それが大事です」


それはさっきも聞いたけど……。

「ララは私たちを助けてくれたです。家を格安で貸してくれて、日本語も教えてくれた。それは恩だけで終わらなかった。ララをが私たちに懐いてくれたから」


懐く?懐くとどう違うというのだろう。

「ララは当時十歳の女の子。そんな子どもがベビーシッターを教えて欲しいといい、そして同年代の友達もいない。寂しいという言い方はララに悪いかもですが、そうやって懐いてくれる子と仲良くしたいと思うの自然な事ね」


「無碍に出来ないでしょう?つまりわたくしがシスティたちに友達になって、と言ってシスティたちは断りづらいよです」

「ああ、なるほど」

「システィたちも一人ぼっちのわたくしを寂しくないように助けてくれたよです」

ああ、助けたってそういう事か。

「わたくしは友達なるためにベビーシッターを教えてもらいたかったわけじゃないけれど、子ども心に分かったよです、ただ、友達になってと言うより、ベビーシッターを教えてと言う方が効果的だと


うん、分かってきたけれどそれを僕にどうやって応用したらいいか……。

「隆太、隆太がどうやってそれを応用していったらいいかは帰ってからゆっくり考えて行けばいいよです。今日はせっかく香港にきたよですからみんなで楽しもうよです」

ララがそう言うとマリーさんたちがいくつもの料理を運んできた


僕たちはその料理を食べながら楽しく会話した。

僕は相変わらず会話に入るタイミングを考えてしまってあまり入れなかったけれど、それを気にしてかララの方から僕に話を振ってくれて、なんだか会話をする練習をしているかのようにも思ったけれど楽しくてそういったこともそれほど感じなくなっていった。

ララが日本語を教えたというのに、システィさんたちの方がなんだか日本語が上手いのも笑えた。


そして予告通り、数時間で僕たちは日本に帰る事になった。

今日は土曜日なので父さんが花梨を見ている。だから花梨を置いてきたけど、父さんが休みのうちに帰らなくてはならない。

花梨や父さんはいいが、将太は置いていった事を怒るかもしれないと思い、お土産はしっかり買ってまたララのプライベートジェットで日本に帰った。


ララがシスティさんたちと友達になったやり方をどうやって僕向きに応用していったらいいんだろう?

やっぱりまだ僕には友達を作る方法が東大入試並みに難しいと感じた。

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