No.002【 共 鳴 】

紅い甲殻のパワードスーツを着ていた。


甲殻スーツの軽い音が、集まるとこれほどの音にあるとは思いもしなかった。

その音は、進軍する新米兵士達の心を支える力強い音に聞こえ、逃げ出したくなる気持ちを抑えていた。


何も考えず、

この足音に合わせ、前に進む…前に...。


「いいか!あの街には、沢山の同胞とその家族が暮らしていた‼︎あの者共の思い通りにさせたままでいいのか!黙り俯向き、益々奴らを図に乗らせておくのか!」


曇天の中に轟く声は、怒りと光りに満ち

勇ましい女の声が進軍の音と共に聴こえる。


隣の男はニヤニヤしながら、

小さな声で話し出した


「おい…。あれが噂の女隊長かぁ芝居かかってんなぁ〜」

誰も喋らずにいたので、つい自分が返した。


「シェイクスピアも真っ青だな。」


と聴こえるか聴こえないかくらいの声で話した。


「シェイクスピアがなんなのか知らないが、おまえの言わんとしてる事は、分かる気がする。」


くだらない返しに、目を合わせ頷く、

気の知れた奴より何故か、意思疎通している感覚になれるのは、この進軍の足音のせいだろうかと考えるほど、不思議だった。


きっと、同じ様に考えているに違いない。


足音が街の真っ黒なビル壁に反響し、より力強く聞こえる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

p o w e r OBOtto @obotto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る