第19話 仕事が終わって
その後、俺はナナエに身体を返した。
「ミナミさん帰りますよ」
「ご、ごめんね。途中で気を失っちゃって、ナナを助けられなかったよ」
「いえ、あそこでミナミさんが時間を稼いでくれたおかげで撃退できました。素直に感謝の言葉しか出ません」
ナナエはミナミを背負ってから大穴の上を目指してジャンプしていく。
英女は身体が頑丈になり、さらに多少の怪我でも割と早く治るらしい。しかし、ミナミのダメージはかなり大きかったらしく、まだ動ける状態ではなかった。なので学校までナナエが背負っていく。
その後1層までたどり着きそこから昇降機に登って外に出る。
外はすっかり夕暮れに包まれて大穴周辺の廃墟が赤く染まっていた。
「今日もみんなを守れたね」
「はい」
二人はそう言いながら学校へと向かった。
…………
…………
その後、学校に戻ったあたりでは、ミナミは自力で歩けるようになったため、コウサカ先生のところに二人で報告に向かう。
前回と同じく薄暗い部屋の中でディスプレイの前に座っていた先生は優しげな笑みを浮かべて、
「今日もお疲れ様でした。二人のお陰で世界は守られています」
「ナナのお陰で敵を倒せました!」
「ありがとうございます」
二人はそう答えた後、ナナエのほうが、
「あの、今回の破蓋についてですが、先生はすでに確認はしていますか?」
「ええ、既存型だったはずなのに異なるところがあったようですね。これはこちらの確認不足でした。ごめんなさい」
そう先生は椅子に座ったまま頭を下げる。
ナナエは慌てて首を振って、
「い、いえ、別に先生を非難しているわけではありません。しかし、最近破蓋の浮上頻度が上がっている上に、今回は既存型が微妙な変化をしています。なんらかの対策を講じる必要があるのではないかと思いまして……」
「確かにその必要はあります。しかし……」
ここで先生は小さくため息を付いて、
「正直な話、できることは限られています。お二人とも知っている通り、破蓋は通常の兵器では倒すことはおろか、触れることもできません。さらに英女は二人までしか神々様の力の問題で選ぶことができません。武器に関しても何度も試行錯誤を繰り返した結果が現状です」
二人しか選べないのか。また面倒だな。
また先生は頭を下げると、
「ごめんなさいね。今はあなたたちでなんとかしてもらうしかないの」
「大丈夫です! 必ず破蓋を全て撃退して見せます!」
「私もナナと一緒にやりきってみせます!」
二人はそう威勢良く答える。
しかし、俺は納得行かなかった。
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