かばんちゃんどうしたの?

@daigoro-daigoro

第1話 

 巨大セルリアンを倒した数日後――


「かばんちゃん、どうしたの?すごい咳だよ。顔が赤いよ?」


「サーバルちゃん、ゴホッゴホ、おはよう。なんだか体が少し重くって」


「大丈夫?うわっすごい熱だよ。博士たち呼んでくるからね、ベットから出ちゃだめだよ」



――――――――――

―――――――

――――



「博士たち、かばんちゃんどうなっちゃったの?」


「これは風邪ですね」


「風邪ですね」


「かぜ?」


「サーバルはかかったことがないかもしれないですが、フレンズもまれにかかることがある病気なのです。セルリアンに一度、食べられたので免疫力が落ちていた可能性があるのです」


「そんな……治す方法はないの?こんなに苦しがっているんだよ」


「安静にしておけば勝手に治るはずです。早く治したいなら……キンカンの実でもとってくるのです」


「とってくるのです」


「キンカンの実?」


「キンカンの実とは咳止めや風邪を治す効果がある木の実なのです」


「すっごーい!それどこに行けば手に入るの?」


「確か、木の実がある果樹園を記した地図が遊園地の倉庫にあるはずです」


「ただ、実が取れる場所はここからかなり遠く、危険な道のりになるのです。それでも行きますか?」


「もちろんだよ!待っててね、かばんちゃん。必ず持ってくるからね」


「ちょっと待つのだ!!話は聞かせてもらったのだ!!アライさんも行くのだ!!」


「アライさんにフェネックちゃん!」


「かばんさんにはお世話になったし、私も行った方がいいかな」


「いやフェネックはここでかばんさんの看病をするのだ!!フェネックがいれば安心なのだ」


「そうですかー、分かりました。気を付けて下さいね。サーバルさん、アライさんの事お願いしますね」


「もちろんだよ、すぐに手に入れて戻ってくるからね、フェネックさんもかばんちゃんの事をよろしくね」


「任せて下さい」


「フェネックは気が利くし完璧なのだ!!かばんさんは絶対に大丈夫なのだ!」


「……サーバルちゃん、みんな、ありがとう」


「それじゃあ出発なのだ!!」


「おーー」



――――――――――

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――――


「けっこう歩いたのだー、まだなのかー!!もうお腹が空いてきたのだ!!」


「うーんと、もう半分ぐらいは来たんじゃないかな。地図だともう少しで川が見えてくれるはずだよ」


「えぇまだ半分なのかー、おっ‼今、水の音がしたのだ!!きっと川なのだ!!」


「急に走ったら危ないよー」


「大丈bあっ!!しまったのだ!!川ではなくて沼だったのだー、どんどん沈んでいくのだ!!底なし沼なのだ!!」


「待っててアライさん!今助けるから」


「やめるのだ!!二人とも沼に沈んでしまうのだ!!ここはアライさんに任せて先に進むのだ!!」


「あれ?でも、足はつくよ?ほらね!アライさんも大丈夫だよ」


「……ホントなのだ!ただの早とちりだったのだ。その……すまんなのだ!!」


「いいよいいよ、それよりどんどん先に進んじゃおー」


「おーなのだー」



――――――――――

―――――――

――――



「分かれ道なのだー」


「ちょっと待ってね、今地図を――、あー」


「どうしたのだ?」


「さっき沼に入ったせいで地図が汚れちゃった」


「泥で全然読めないのだ」


「どうしよう」


「ここはアライさんに任せるのだ」


「どうするの?」


「木の実の匂いを辿るのだ!!」


「すっごーい!そんなことできるの?」


「ふふーん、アライさん匂いを辿ってかばんさんを見つけることができたのだ!!これぐらい朝飯前なのだ!!」


「そっかーさすがアライさんだね」


「ふんふん、こっちから美味しそうな匂いがするのだ」


「それじゃー早速行こー」



――――――――――

―――――――

――――


「見つけたのだ!!すごい数の木にたくさんの実!!ここにかばんさんを治す木の実があるのだ!!」


「ホントだー、アライさんすっごーい」


「アライさんはすごいのだ!!よく覚えておくのだ!!」


「でもここの木の実はいろんな種類があるよ?キンカンの実はどれだろ?」


「うぅ、これはアライさんも分からないのだ、お手上げなのだ」


「ど、どうしよー」


「そうなのだ!!いい案が浮かんだのだ!!」


「えっ!なになに?」



――――――――――

―――――――

――――



「かばんさーん、具合はどうですか?」


「ありがとうございます。おかげで元気になりました。熱も下がりましたし、体もだいぶ良くなってきました。だけど、サーバルちゃんやアライさんは」


「もう夕方だし、そろそろ帰ってくる頃じゃないかな――」


「ただいまなのだー」


「うわさをすれば」


「今帰ったよ、かばんちゃん具合大丈夫?」


「サーバルちゃんにアライさん、おかえりなさい。具合の方は――」


「何も言わなくていいのだ!!アライさん達がキンカンの実をとってきたのだ!!早速食べるのだ!!」


「うぐっ……」


「アライさーん、かばんさんの口に木の実を突っ込まなくても……というよりキンカンの実ってそんな赤色だったんですね」


「実は、木の実はたくさん種類があってどれがキンカンの実か分からなかったの」


「だから全部取ってきたのだ!きっとこの中にキンカンの実があるはずなのだ!!だから全部食べるのだ!!」


「そんな無茶苦茶な……」


「うわ~、かっから~~~い」


「かばんちゃん!大丈夫?」


「おおっ、元気になったのだ!!良かったのだ!!一つでこんなに元気になったのだから全部食べればもっともっと元気になるのだ!!」


「アライさーん、元気になったというよりも……かばんさん辛すぎて暴れているだけだよ」


「こんな元気に動けるようになったってことは風邪ではなくなったということなのだ!!オールオッケーなのだ!!」


「そっか、かばんちゃん、次はこれ食べてみて!きっとおいしいよ!」


「うぅ、サーバルちゃんありがと…」


 結局、アライさんとサーバルさんが頑張ってとってきてくれた木の実を全部食べた真面目なかばんさんは余計に具合が悪くなりました。

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